Yahoo!ニュース

IDでもっと便利に新規取得

ログイン

排せつ物を堆肥にするバイオトイレが静かな人気 英国で進む便所革命

配信

The Guardian

【記者:Emine Saner】  ここ数年で英国内で野外フェスティバルに参加するか、地方に旅行に行くか、環境問題への意識が高い人たちと一緒に過ごしたりしたことがあるなら、各地で小さなトイレ革命が起きていることに気付いたかもしれない。毎回トイレを流すたびに飲料水にもできるような質の水が何リットルも捨てられている。これは環境を保護して気候変動を遅らせようとする取り組みにも反する行為ではないかと感じている人にとって、理にかなっていると思えるものがある。それバイオトイレだ。  考え方はシンプルだ。人の排せつ物を他の有機物と同様に、台所から出たごみを堆肥化するのと似たような方法で扱う。  持続可能な不動産の建設を支援する「グラウンドハウス」を運営するダレン・ホワース氏は、フランスの自宅にバイオトイレを設置している。液状の廃棄物は自宅の外で、ヨシが生えた湿性草地を通ってろ過され、池に流される。この液体はその後、野菜畑の水やりに使われる。固形物は堆肥になる。ホワースさんの4人世帯では、2週間おきにバケツを空ける。「大した作業じゃない。庭があれば、バイオトイレにできない理由はない。水道料金の節約にもなるし、その後にもさまざまなメリットがある。処理する必要のある汚染水を作り出しているわけではないので」  こうした事例を裏付けるように、バイオトイレという考え方はますます受け入れられつつあるようだ。世界最大級の野外音楽祭「グラストンベリー・フェスティバル」では、2014年にバイオトイレの数が増やされ、昨年は1000個以上設置された。排せつ物は集められて地元の農場で堆肥にされ、その後、他の農場に配られた。  英ウェールズのポーイスにある代替技術センターの生物学者でありバイオトイレ専門家のフィン・ジョルダン氏は、今年の秋、自宅周辺に70本の木を植えた際、バイオトイレから出た「人の排せつ物を活用した堆肥」を利用した。便器や洗面台から液状の廃棄物は、パイプを通ってヨシが生えた草地に流され、ヒレハリソウやアヤメ属、リュウキンカ属といった植物の肥料になる。固形廃棄物(おがくずや木灰といった炭素系の物質や、ココナツ繊維または猫トイレ用の砂と混ぜたもの)は、バケツに集めて数週間に1度、堆肥置き場に空ける。悪臭なのでは? この質問に、臭くはないとジョルダン氏は答えた。「腐植土のような、森の中のようなにおいがする。菌類とか、葉っぱのようなにおいだ」  下水設備が向上したおかげで、コレラや赤痢など、さまざまな病気から何百万人の命が救われる一方で、環境コストは膨らみ続けている。英国では、トイレを流す水は一般家庭での水使用量の3分の1近くを占める。飲料用に使える水質の水がトイレに使用され、その後、それを浄化するためにエネルギーと資源が費やされる。こうした水処理の過程で排出される温室効果ガスは、英国全体の排出量の約1%に相当する。  マーティン・ドイル氏は、バイオトイレ・メーカー「WooWoo」(ウーウー)の営業部長だ。主な市場は、かつてはゴルフ場や市民菜園など上下水道が整っていない場所だったが、ここ2年で、環境面の理由からバイオトイレを自宅に設置することに関心を持つ人々からの需要が増えてきているという。液体と固体の廃棄物を混ぜないと、「大便は比較的水分が少なく、想像するよりずっと臭わない。それに量も、想像するより少ない。トイレの内容物はその後、自宅で堆肥化できる。12か月後には、栄養価が高く、使い勝手のいい堆肥ができあがっている」  環境に配慮した建築業者「タイ・プレン」で丸太木材の組み立てを担うデービッド・テイラー氏は、これまでに顧客向けに三つのバイオトイレを設置した。どれも屋外トイレだが、いつかは都会の住宅でも人の排せつ物を堆肥化できるようになる日が来ると考えている。 「人の排せつ物を使った堆肥は、集合住宅(の住人)で集めてから運び出して堆肥にすることもできるし、メタン発酵槽で処理して、そのエネルギーを建物内で活用することもできる」とテイラー氏は話す。 「バイオトイレ・システムを使う上で興味深い点の一つは、今の私たちは循環の輪を自分で閉じてしまっているところだ。私たち欧米人は、たくさんのミネラルやビタミンを含むさまざまな食べ物を口にしている。そしてそのほとんどが土から採られたものだ。だが今のところ、私たちはそれをすべて新鮮できれいな水に入れて流してしまい、その水は非常に工業化された方法で処理される。私たちは飲料水を汚染しつつ、栄養素が土に戻って植物が育つ肥沃な土地を作るというサイクルを断ち切ってしまっているのだ」 【翻訳編集】AFPBB News 「ガーディアン」とは: 1821年創刊。デーリー・テレグラフ、タイムズなどと並ぶ英国を代表する高級朝刊紙。2014年ピュリツァー賞の公益部門金賞を受賞。

【関連記事】