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学術交流の機会を望んでも、得られない北朝鮮の学者たち <アレックの朝鮮回顧録13>

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HARBOR BUSINESS Online

  2019年7月4日、北朝鮮の金日成総合大学に通うオーストラリア人留学生アレック・シグリー氏が国外追放された。  朝鮮中央通信はシグリー氏が「反朝鮮謀略宣伝行為」を働いたとして6月25日にスパイ容疑で拘束、人道措置として釈放したと発表。北朝鮮の数少ない外国人留学生として、日々新たな情報発信をしていた彼を襲った急転直下の事態に、北朝鮮ウォッチャーの中では驚きが走った。  当連載では、シグリー氏が北朝鮮との出会いの経緯から、逮捕・追放という形で幕を下ろした約1年間の留学生生活を回顧する。その数奇なエピソードは、北朝鮮理解の一助となるか――?  

北朝鮮の学術界にも席巻する「Publish or Perish」

 新自由主義時代の学者たちはあらゆる圧力を受けている。高級ジャーナルを通じて出版できなければ学者としてのキャリアも失敗するというプレッシャーが強まるほど、学内ではSSCI(Social Science Citation Index。社会科学領域の主要な学術誌の論文をデータベース化したもの)のような社会科学引用指数を取り沙汰するようになった。  しかし「グローバル化」を「帝国主義者の謀略」とみる北朝鮮の大学でSSCIが言及された際には、私は驚きを感じた。ある日、少し付き合いのある先生は私にこう言った。 先生:アレック先生……オーストラリアではどの言語を使うのですか? フランス語でしょう? 私:いいえ。私たちはもともと英国の植民地で、英連邦国のため英語を話します。私はフランス語は話せません。 先生:ああ、そうですか。でも、私と一緒にフランス語文法についてSSCI学術誌で共著論文を掲載しませんか? 私:(慌てながら)先生、私は小説文学を専攻していて、言語学のバックグラウンドがありません。私も出来る限り調べてみますが、お力になれることがおそらくありません。  その後、私が調べたところによると、金日成総合大学のある科学研究者がSSCIジャーナルに論文を掲載した後、大学当局は大学全体にSSCIジャーナルに寄稿するよう指示したのだ。  当時、ある学者がSSCI誌に寄稿したという内容が校庭の掲示板に貼り出され、教員たちはSSCIについて言及するようになった。「Publish or Perish」(出版しなければ消滅する)という現象は北朝鮮の大学までをも征服したのだ。

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