水俣病の患者認定基準は現在どうなっているのか?
結局、熊本県は、審査業務を停止して国にげたを預けてしまい、認定申請者に対しては国での審査を勧めたのです。現在の認定申請総数約800人のうち、国が審査してくれるなら認定されるのではないかと希望を抱いた人がこの勧めに応じており、40人に上ります。審査結果に関しては、審査の内容が公表されないため、現時点では判断できませんが、公平性と公正性の観点からは、どのように審査を行ったかを公表することが望まれます。 水俣病の発生確認から58年を経過してもなお、水俣病認定を巡って、混迷が続いているということ自体が、被害者の救済と補償に関わる制度と政策の失敗のあらわれといえるでしょう。 (花田昌宣/熊本学園大学水俣学研究センター長)