【会見全文書き起こし・後編】翁長知事「基地は沖縄経済の最大の阻害要因」
日本の安全保障という意味だから一定程度我慢しましょうって話であって、基地が私たちを助けてきたというようなものは、あの戦後の貧しいときに食料を与えてもらったという、そんときにはあったかもしれませんが、しかし、それも日米両政府がやったことですので、私たち沖縄からすると、それは私たちの責任じゃありません。もう、爆弾でみんな、産業も何にもないわけですから、それに頼るしかなかったんですが、今はそのような形で、ライカムという新しいのもできました。いわゆる跡地利用には世界の資本がホテルを作りたい、何を作りたいって言って、県庁にもよく来るんです。なんにもみんな基地があるから、前に進まないんですよ。これだけ迷惑を掛けてるんだということをよく日米両政府は分かっていただきたいんですね。 仲井眞さんのときにこの経済効果を測りました。そうすると今、安倍さんが着々と進んでますよという普天間や那覇軍港や、それからキャンプキンザー、これが返されたときの経済効果、今、基地関連収入がこの5つで500億円、基地関連収入があります。返されたら、どれだけの効果があるかというのを試算しましたら、8,900億円です。約20倍。普天間とかキャンプキンザーとか返されたら、20倍の民間の施設がここに立ち上がって、ホテルだろうがいろんなものが出来上がって、沖縄経済がぐーんと伸びていくんですよ。これを基地があるから邪魔してるんですよ。だから、基地で沖縄が食っているというのは、もう40年、30年前の話であって、今や基地は沖縄経済発展の最大の阻害要因だということをしっかりと皆さん方、ご理解いただきたいと思います。
記者:多くの在外の米軍基地が返還されているが、そこでは、基地による環境汚染が問題となっている。日本政府とは、この問題の克服について、どう協議をしたのか、また、アメリカには、どのように伝えるつものか。 翁長:私は15年前の少女暴行事件のときに、同じように抗議としてワシントンDCに行きました。で、カリフォルニアからサンフランシスコも行ってまいりまして、アメリカの基地閉鎖の状況を見てきたんです。アメリカの基地閉鎖は、もうあのときで100ぐらい閉鎖しちゃっておりますから、私たちが見てきたのは3つ、4つですけれども。閉鎖をして、まず土壌を、1メートル、2メートルの土を削って、いろいろ汚染されてますから、これをどこそこに持っていくんですね。そして、取ったあとに大きなタンクができまして、地下水をくみ上げて、きれいな水にして15年後たたないと町は作らせないんですよ。それぐらい軍隊の汚染というものは大変なものなんです。どこでもアメリカは環境問題をそれだけしっかりやって、なおかつそれ以上やったのちにしか、まちづくりはさせません。 ところが、今の日米の地位協定は、アメリカ軍の中に私たち入れないんですね。入れない中で、ドラム缶からいろんなものが出てきたりしますので、環境問題だけでも調べさせてくれよと言うんですが、前向きに考えますという、去年の協定はありますが、具体化はまだしてません。で、3年前から調べさせてくれということも言っておりますけど、当然まだ確定はしておりません。そうすると、アメリカ並みにするためには、15年前から環境汚染のことについてそういう作業をしなきゃいけないのに、3年前に返して、さあ、まちづくり、すぐやりましょうなどということは、これは子供たちにとっては大変なことなんですね。ですから、キャンプキンザーも、那覇軍港も返されたら、15年間は、本当を言えば、地下水から水をくんで、きれいにして返して、きれいな土になってからじゃないとまちづくりはできないんですよ。こういったこと等を考えますと、いかに今のやり方が理不尽であるか。 ですから、日米地位協定のそういう環境の条項を変えるとは言ってるんですが、それさえも手は付けられない。だから日本の独立は神話ではないかというのは、私は自国民を守ることができないような、そのような日米地位協定は、なんにも触ることもできない日本が、日本を取り戻すことができるのかということを先ほど申し上げたわけでありまして、そういった意味からすると、今のその環境問題も大変な、私は理不尽な状況だというふうに思っております。