ドンキで働くウクライナ避難民に密着! 見えてきた日本の支援の課題とは【WBS】
ロシアによるウクライナ侵攻により、他の国に避難したウクライナ国民は500万人を超えていて、日本も現在820人の避難民を受け入れています。日本では、避難民たちが希望すれば、1年間就労しながら滞在することが可能で、避難民の受け入れに名乗りをあげる企業も増えています。WBSでは、大手ディスカウントショップ「ドン・キホーテ」が受け入れた避難民のクリスさんの密着取材を続けてきました。そこから見えてきた日本の課題とは? 東京・足立区のドン・キホーテの店舗「MEGAドン・キホーテ環七梅島店」。ここで働くのがウクライナから避難してきたクリスさん(33)です。この日は初の出勤日で「この日をずっと待っていた。早く仕事がしたかった」と話します。 クリスさんがウクライナを出国したのは3月上旬。南東部の町から知人らとともに車や列車を乗り継ぎ、まずはポーランドに移動。娘のレラちゃんと2人、義理の姉が住む日本にやって来たのです。勤務は週4日、時給は日本人と同じ1050円。日本語が話せないため接客ではなく、品出し作業がメインです。通訳も交え、スタッフから棚に置かれている商品の番号と同じ番号の商品をその場所に並べるように指示がありました。 「番号は一緒だけど包装が違う」(クリスさん) 「ここ(番号)が一緒なら大丈夫」(店長) クリスさんが指摘したのは季節限定商品と通常商品の微妙な違い。「MEGAドン・キホーテ環七梅島店」の吉田千尋店長は「すごい熱意がある。覚えるのが早い」と話します。 スタッフも携帯電話に翻訳アプリを入れ、積極的にコミュニケーションを図ります。 「言葉にできないほどのサポート。日本語を覚えたら、必ず感謝の気持をみんなに伝えます」(クリスさん) クリスさんが住んでいるのはドン・キホーテが用意した都内のアパートで賃料は無料。マットレスや家電、生活用品なども提供されたものです。 「家の提供と家賃の負担をしてもらい、本当に救われた」(クリスさん) ただ決して生活が楽なわけではありません。政府は日本に身寄りのないウクライナの避難民に対しては1日最大2400円の生活費を支給していますが、クリスさんの場合、義理の姉が日本で暮らしているため支給の対象外。10万円に満たない月給でやりくりをしないといけないのです。 クリスさんはできる仕事を増やすため、娘とともに日本語の勉強を必死にしていました。日本の企業で働きながら自立して生活したい。そう考えるクリスさんは通訳の付き添いを断り、一人で仕事を始めていました。ところがお客さんから話しかけられても何も答えられません。 「海苔はもうない?」(お客さん) 「すみません」(通訳) 結局、見かねた通訳が飛んできてお客さんに謝ることに。 「お客さんに声をかけられていたけれど?」(番組スタッフ) 「言葉が分からないから、聞かれてもなんと答えればいいか分からない。罪悪感がすごい…」(クリスさん)