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黒川元検事長不起訴は「違法」 法学者らが検察審査会に申し立て

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週刊金曜日

「常習賭博罪」の疑いで市民団体から刑事告発された黒川弘務東京高検元検事長を「不起訴」とした東京地検の処分は裁量権を濫用した違法な処分だとして、「安倍首相による検察支配を許さない実行委員会」の藤田高景代表や法学者ら121人が7月21日、東京検察審査会に審査を申し立てた。  新型コロナウイルス感染拡大による「緊急事態宣言」下の4月から5月にかけて、東京都中央区内の『産経』新聞記者の自宅で、同記者や『朝日』新聞社員らと複数回、賭けマージャンに興じていた当時の東京高検検事長黒川氏は、その事実を認めて5月に自ら辞任した。  安倍政権は「政権の守護神」などと評されていた黒川氏を、定年退職直前の1月31日に検察庁法を無視して「半年間の定年延長」とする閣議決定をし、さらに国会に検察庁法「改正」案まで提出して、違法閣議決定の正当化と、次期検事総長への布石を打とうとしたとされる。単なる「賭けマージャン辞任」で済まされない「政治権力による検察支配」だと危惧して発足したのが「安倍首相による検察支配を許さない実行委員会」だ。 【理由不明の「不起訴」】  6月に入って黒川氏を刑事告発した藤田さんら告発人に対して、東京地検は7月10日付で「不起訴」とする「処分通知書」を送付してきた。しかし、その理由がまったく書かれていなかった。 「告発者なのにどういう理由で不起訴としたのかが不明。その一部を新聞で知るしかない。これは国民主権無視ではないか」  検察審査会への申し立て後、東京・霞が関の司法記者クラブで会見した申立人代理人の大口昭彦弁護士はこう述べた。また、黒川氏の後任で7月17日に検事総長に就任した林真琴氏の言葉を引用して検察の姿勢を批判した。 「林検事総長は就任会見で『国民の信頼回復』などと述べたが、信頼回復のためにまず必要なのは黒川氏への厳正な処分と捜査だ。国民はまったく納得していない」  新聞報道によると、黒川不起訴(起訴猶予)の理由は、(1)常習性は認められない、(2)賭け金が少額、(3)すでに社会的制裁も受けている――の3点だとされる。  今回の「審査申立の理由」では、これに反論する形で、(1)黒川氏の賭けマージャンは継続的に反復されており常習性は明白、(2)1回の賭け金の多寡で常習賭博行為の違法性が軽減されるものではなく、「点ピン(1000点につき100円のレート)であれば賭博罪にはならない」という誤った認識が醸成される、(3)懲戒処分ではない「訓告」と高額退職金のどこが「社会的制裁」か、などと指摘。2013年9月に東京高検の「非違法行為等防止対策地域委員会」が作成した『品位と誇りを胸に』(三訂版)にある「懲戒処分の指針」を示し、常習賭博は「停職」相当であり、実際に17年には同じ「点ピン」レートで自衛官9人が停職処分を受けているとした上で、今回の「政治的不起訴」を強く非難。「罪は罪として厳正に真実を究明し、それに相応しい処罰を裁判所に求める」、それによってこそ「国民の信頼回復」は初めて達成されると訴えている。代表の藤田さんは「庶民には処分、検事長は許される。こんな不公平は許されない」と述べ、検察審査会での厳正公平な審査を求めた。  市民の良識を反映するという設置目的どおりの検察審査会であれば、結論は自ずと見えてこよう。 (片岡伸行・記者、2020年7月31日号)

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