カナダ、トランプ氏に石油ウラン輸出税で対抗も-関税の脅し実行なら
(ブルームバーグ): トランプ次期米大統領がカナダに警告している関税の発動に実際に動く場合、米国に輸出するウランや原油、カリウムといった主要コモディティー(商品)に輸出税を課すことをカナダ政府は検討している。トルドー政権内での討議に詳しい複数の当局者が明らかにした。
当局者によれば、輸出税はカナダにとって最後の手段であり、米国製品への報復関税や特定のカナダ製品の輸出規制が先に実施される可能性が高い。
トランプ氏が全面的な貿易戦争突入を決断する場合、米国の消費者や農家、企業にとってコスト上昇を招く輸出税導入は現実的な選択肢という。
輸出規制に関する政府の権限拡大案が、16日公表の最新の財政・経済状況報告で示される可能性があると当局者が匿名を条件に語った。
米国への外国からの石油供給はカナダからが最も多い。一部の製油所は安価なカナダ産重質原油に依存し、代わりの選択肢はほとんどない。米中西部の燃料メーカーは、ガソリンやディーゼルの原料となる原油のほぼ半分をカナダ産に頼っており、コスト上昇の影響を特に厳しく受ける見通しだ。
原発用のウランもカナダが最大の対米輸出国であり、カナダ西部で産出されるカリウムは米農場向け肥料の原料として欠かせない。
そうした理由からトランプ氏がメキシコとカナダに警告している25%の関税対象からコモディティーを除外し、製造業を対象とする関税に重点を置くと予想する専門家もいる。カナダの場合、オンタリオ州とケベック州に集中する自動車、航空宇宙、アルミニウム産業が対象に含まれることになる。
しかし、トランプ氏が関税対象からエネルギーだけを除外し、他の全てのカナダ製品に影響が出る場合、トルドー政権は対応せざるを得ず、これがカナダに輸出税の適用を促すとシナリオと考えられる。
ブルームバーグ・ニュースの報道を受け、カナダ・ドルの対米ドル相場は下げ幅を拡大し、一時1米ドル=1.4212カナダ・ドルの安値を付けた。