『アイカツプラネット!』なぜ実写とアニメの融合に? シリーズの歴史から考察
『アイカツ!』シリーズの最新作『アイカツプラネット!』が、テレビ東京系にて毎週日曜朝7時より放送中だ。 純粋なアニメ作品だった過去の『アイカツ!』シリーズから打って変わって、本作は実写ドラマパートが半分、アニメパートが半分という、2種類の映像表現を組み合わせた作品になっている(アニメパートはセルアニメと3DCGアニメが用いられているので、これを分けると3種類)。 有名シリーズがこのような新しい表現を取り入れたことについて、不思議に思っている方も多いかもしれない。本稿ではシリーズの歴史をなぞりつつ、『アイカツプラネット!』がこういった作風を選んだ理由について考えたい。 ■空前のヒットとなった初代『アイカツ!』 『アイカツ!』シリーズは2012年10月より放送の『アイカツ!』から始まった。 作中では、普通の女の子である星宮いちごが、トップアイドルである神崎美月に憧れ、友達と一緒にアイドル養成学校へと編入。共にトップアイドルを目指す仲間たちと、ときに競い合い、ときに励まし合いながらアイドル活動を行っていくという青春ストーリーが展開された。 また、データカードダスのアーケード筐体も同時展開され、こちらはプレイヤー自身の分身となるキャラクターを使ってトップアイドルを目指すという設定。キャッチコピーは「国民的アイドルオーディションゲーム」だった。 未就学児童をメインターゲットとした『プリキュア』シリーズなどよりも歳上の、アイドルやおしゃれに興味を持つ年齢になった女子児童を中心に関連商品は大ヒットし、2年目にはシリーズ最大の売上高を記録。 その後、ブーム自体は徐々に落ち着きを見せるも、定着したファンの存在もあり、初代『アイカツ!』の放送は3年半にわたって継続。3年目には2作の劇場作品の公開も行われている。
■後続作『アイカツスターズ!』、『アイカツフレンズ!』は試行錯誤が続く 初代『アイカツ!』終了後も、シリーズの展開は続いた。2016年4月からは『アイカツスターズ!』が2年間、2018年4月からは『アイカツフレンズ!』が1年半にわたってそれぞれ展開される。 展開期間が後発の作品になるにつれ短くなっている点が、シリーズの試行錯誤と苦慮の歴史を物語っているといえる。初代『アイカツ!』が2作の劇場作品を展開したのと比較して、『アイカツスターズ!』の劇場作品は1作、『アイカツフレンズ!』以降は後述する作品も含め、劇場版の製作が1度も行われていないというのも、商業的な厳しさを察するところだ。 シリーズを追いかけている人間として念のためフォローを入れておきたいのは、これらのアニメシリーズは「憧れた存在に近づくため、真っ直ぐに努力する少女たちの物語」、「美しい3DCGによるライブパートが存在する」といった作劇上の共通点はありつつも、作風やコンセプトにはそれぞれに差異があり、それらはいずれも単純に優劣を決められない魅力的なものである、ということだ。 各作品独自の面白さは、シリーズを通して追いかければこそ感じ取れる部分があり、そうする価値は十分にあるシリーズだと断言できる。 ■“コアファン向け”へと舵を切った『アイカツオンパレード!』 『アイカツ!』、『アイカツスターズ!』、『アイカツフレンズ!』は、基本的にそれぞれの世界観が独立している作品だった(『アイカツスターズ!』での初代『アイカツ!』とのコラボエピソードなど、一部例外あり)。そんな異なる世界をつなぐ“扉”が現れたという設定で、シリーズに登場したすべての世界、すべてのアイドルたちがクロスオーバーする4作目『アイカツオンパレード!』の放送が2019年10月からスタート。 それはシリーズファンにとっては夢のような作品であったと同時に、この時点で7年間続いてきたシリーズが、元々のターゲットであった女子児童よりも、シリーズを追いかけ続けてきたコアなファン層に向けた作風へと舵を切ったことも意味していた。 この『アイカツオンパレード!』の半年間のテレビ放送と、番外編エピソードといえるWEB版の配信を終え、4本のシリーズ作品のテレビ放送を途切れることなく続けてきた『アイカツ!』シリーズは、その歴史上はじめての充電期間を設けることになる。