再び人を殺す可能性「あると思います」…自作の刃物で二十歳の頃からの殺人願望を実行、初対面の女性を殺害…精神鑑定で『性的サディズム』による障害と診断
『無差別殺人で悪質』として懲役30年求刑
裁判員裁判は3日間続いた。最終日、検察側は今回の事件は理不尽な動機による無差別殺人で、殺人罪の中でも特に悪質なものだと主張した。 さらに、仕事や金を失って自暴自棄になったことは被告の責任で、殺人願望を抱いていたことも被害者には関係がなく、殺される理由はない。被告は自作した刃物で冷凍肉を切り、切れ味も認識していた。その刃物で被害者をめった刺しにする、極めて執拗で残虐な犯行である。殺害したあとに写真撮影するなど、死者に鞭を打つような行為で尊厳を傷つけた。さらに、被告は多数の前科を持っており法を守ろうという意識が著しく希薄であること。人を殺したいという願望を果たそうと躊躇なく犯行に及んでいること。裁判においても「また人を殺してしまう可能性が高い」と話していることから再犯の可能性が高いと指摘した。 しかし…、罪を自白したこと、遺族に一応の謝罪の意思を示したことを考慮すると無期懲役を求めるのは若干の躊躇がある、として有期の懲役刑では最も重い懲役30年を求刑した。 一方の弁護側。被告は犯行直後「反省はないし、後悔もない。被害者に思うところはない」と話していたが、遺族に対して何もしないのは間違っていると謝罪し、被告なりに反省を深めつつあると主張した。 再犯の可能性について弁護人は、「本人が自覚しているかどうかは別だが、相当程度の後悔をしている。心に飼っている魔物が消えていないと言いつつ、もう人を殺したくないとも言っている。被告にはいまだ良心が存在していて、その葛藤がみられる。口では反省をしていないと言っていても現実には後悔が見える行動を取っている。多数の前科があると言っても同じことを繰り返しているわけではなく、再犯の可能性があるとはいえない」と養護した。そして、殺人への衝動性を克服し飲酒も絶つと言っていることから更生の余地が十分にあるとして懲役20年の判決を求めた。 最後、裁判長から何か言いたいことはありますか?と問われた中村被告。 中村被告: あの……当然のことなんですが、私も人間なので親がいます。母親からは事件を知ってものすごくショックを受けたと言われました。でも私が生まれた時に本当に嬉しかったこと、楽しかったことは忘れないと、あなたを見捨てることはないと言われました。冒頭陳述でAさんのご遺族がAさんが生まれた時に嬉しかったと述べられていて、本当にかわいそうだなと思いました。以上です。