再び人を殺す可能性「あると思います」…自作の刃物で二十歳の頃からの殺人願望を実行、初対面の女性を殺害…精神鑑定で『性的サディズム』による障害と診断
失職したと思い込み自暴自棄に
事件2日前。9月9日午後11時ごろ。 中村被告は白山市内のインターネットカフェに24時間パックで入店。このときもリュックには自作の刃物を入れていた。翌日、9月10日午後9時40分ごろ。店から退店しようとするが所持金が足りず、近くのパチンコ店に併設されたコンビニのATMで引き落とそうとした。 しかし残高が237円だったため金は下ろさずにそのパチンコ店内を徘徊。なぜ徘徊したのか?という問いに…「殺せる相手を探していた可能性がある」そのパチンコ店で殺せる相手は見つからなかったが、衝動は止まらなかった。 中村被告: 「9月1日に別のパチンコ店に行った。調子の良いことを言っていた幹部店員がいて、あいつどないかしたろうかなという思いでそこへ向かった」 弁護人: 「どないかしたろうかな、というのは?」 中村被告: 「殺すという意味です」 弁護人: 「前は痛い目にあわせようと思った、殺すまでは思ってないと言っていたけど、殺意があった?」 中村被告: 「あったとも言えるし、なかったとも言える」 気に入らない店員を殺そうと、あるいは痛い目に合わせてやろうと別のパチンコ店へ向かった中村被告。その店員を店内で見つけることは出来ず、30分以上駐車場で待ち伏せていたというがそれでも店員は現れなかった。そこでよぎったのが「若い女性を、ホテルで殺す」という恐ろしい考えだった。 中村被告は法廷で、「どうせやるなら確実に殺したいと、ホテルなら確実に殺せるだろうと思った」と話している。これに対し検察が、なぜ確実に殺せると思った?と尋ねると中村被告は、「密室で助けも呼べないからだ」と答えていた。
殺害した女性の財布からホテル代を精算
9月10日午後11時36分。中村被告は、事件現場となるホテルに入店。 ”相手の死角で、すぐに取り出せる場所” その考えから刃物はソファーのひじ掛けあたりに隠し、到着した女性を招き入れるとソファーに座らせた。刃物を隠したのとは反対の、出入口から遠い方へ。 そして女性が中村被告の方へ体を向けた瞬間… 中村被告: 立ち上がって刃物でいきなり刺しました。下腹部あたりだった。 検察: その時の力は? 中村被告: フルパワーです。 女性の下腹部を2~3回刺した中村被告。ソファーから立ち上がり、悲鳴を上げて逃げようとする女性を追いかけ、背面から襲った。中村被告はその時の様子について、「何度も刺しました。そんなムチャクチャに刺した覚えはないですけど、馬乗りに近いと思います。みぞおちから心臓があるところに向かって深く、2~3回刺しました」と、すらすらと話していた。 弁護人がどれだけ刺したのかと問うと、中村被告は、「1回目、2回目かは覚えてないけど、刃物の根元近くまで刺しました」さらに、「女性の口元が痙攣していたため、まだ生きていると思ったので、深く刺した。力いっぱい、プラスえぐりました。ぐりぐりと。そのあと動きが無くなったので死んだと確信した」と犯行時の様子を答えていた。女性の体には30カ所以上の傷があり、腕には多数の防御創も残っていた。 そして女性を殺した中村被告は信じられない行動に出る。 中村被告は、女性に口づけをしたり、胸を触ったり、下着を刃物で切って性交しようとしたという。これについて中村被告は「異様な興奮状態で、高揚した気分だった」と述べている。人殺しという行為にえもいわれぬ高ぶりを感じたと言うのだ。そして中村被告は、体や刃物についた血を洗い流し、女性が持っていた現金1万9000円を抜き取った。 さらには、自分が刺して殺した女性を写真に収めていたと言うのだ。 弁護人に、なぜ写真を撮ったのかと聞かれ「分からないけど、こんなことを言ったら不謹慎だけど、犯罪者は自分のした行いを記念に撮っておきたいと考えると思う。そういう心境で撮ったんだと思う」と答えた中村被告。弁護人に、それは今のあなたの推測ですよね?とさらに問われると「いや、記念に撮っておこうという気持ちがありました」と答えていた。 犯行後、中村被告は、女性から抜き取った金でホテル代を清算。その後、自転車で向かった先は石川県内一の繁華街、金沢市・片町だった。 女性を刺した刃物はリュックではなくズボンのベルトに差し込んでいた中村被告。「また人を殺そうとしていたから、いつでも取り出せるように」だったという。人が多く集まる場所へ行けば殺人のチャンスが増えると思った中村被告。人を殺す快感をもっと味わいたいと再び殺す相手を探していたのだ。 ここでもターゲットに選んだのは「若い女性」 午前4時過ぎには2人の女性とベンチに座って話す中村被告の姿が防犯カメラに記録されていた。しかし、女性たちの命は奪わなかった。 中村被告は2人いたので、いっぺんには殺せないかなと、それと酒にひどく酔っていたので殺せなかったと述べていた。女性たちと会話し、そのままベンチで眠った中村被告。その約3時間後、警察官が身柄を確保し銃刀法違反の現行犯で逮捕。殺人の疑いで再逮捕された。