中谷潤人がオラスクアガ、アルバラードの親友2人とチームで強化 「3人そろって日本で勝ちたい」
◆プロボクシング ▽WBC世界バンタム級(53・5キロ以下)タイトルマッチ12回戦 王者・中谷潤人―同級1位ペッチ・ソー・チットパッタナ▽WBO世界フライ級(50・8キロ以下)タイトルマッチ12回戦 王者アンソニー・オラスクアガ―同級1位ジョナサン・ゴンサレス(10月14日、東京・有明アリーナ) WBC世界バンタム級王者・中谷潤人(M・T)が13日までに、オンライン取材に応じ、米国ロサンゼルスでの強化キャンプの様子などを報告。WBO世界フライ級王者アンソニー・オラスクアガ(米国/帝拳)、バンタム級のエイドリアン・アルバラード(米国)の親友2人とともに切磋琢磨(せっさたくま)している様子を明かした。 同級1位のペッチ・ソー・チットパッタナ(タイ)とのV2戦に向けて、スパーリング中心で練習を積んでいる中谷。実戦練習は11日(日本時間12日)まで90ラウンドを数え、帰国までには200ラウンド近く重ねる予定だ。中谷は、世界王者を何人も育てたルディ・エルナンデス・トレーナーのもとで強化に努めているが、ロスでは世界王者になったばかりのオラスクアガ、バンタム級で10勝を挙げているアルバラードの親友2人と一緒にトレーニングを行っている。2人は中谷が15歳で単身米国に渡ってから、ともにボクシング修業を行った親友だ。2人は中谷の世界戦を応援するため、何度も来日。オラスクアガは今年7月、中谷がビンセント・アストロラビオ(フィリピン)を初回KOで破った初防衛戦と同じリングで加納陸(大成)とのWBO世界フライ級王座決定戦で3回KO勝ち。新王者となった。今回も中谷と同じリングで、前WBO世界ライトフライ級王者ジョナサン・ゴンサレス(プエルトリコ)との初防衛戦を行う。 中谷、オラスクアガの世界戦から4日後の10月18日には、アルバラードが、東京・後楽園ホールでエイドリアン・レラサン(フィリピン)とバンタム級8回戦で対戦。“日本デビュー”することになった。3人の親友が同じ時期に日本で試合をすることになったのだ。これには、中谷のモチベーションは高まる一方で、「2人が日本で試合をするなんて、イメージもしていなかったので…。すごくうれしいし、気合が入ります。減量も同じタイミングで、試合に向けては、こう挑んでいけるというところではまさに一緒に闘っていくという感じ。楽しんで試合に挑んでいけるし、エイドリアンは日本が好きなので、日本で試合ができることを喜んでいます。トニー(オラスクアガの愛称)も日本での試合が多いし、彼の人柄なのか、人気もあって…。日本で3人が合流したら、また騒がしくなるというか…」と表情を緩めた。 中谷は現在、スーパーバンタム級の世界4団体統一王者・井上尚弥(大橋)、IBF世界ライト級王者ワシル・ロマチェンコ(ウクライナ)のスパーリングパートナーを務めたジャフェスリー・ラミド(米国)らを相手にスパーリングをこなしているが、中谷ら親友トリオの対戦相手は偶然にも全員サウスポー。「こっちにはあまりサウスポーの選手が少ないので、ちょっと(相手を)取り合いしながら」と中谷は苦笑い。それでも「僕がサウスポーなので、相手がいない時には僕が彼らの相手を務めたりしています。逆に、僕の時も、エイドリアンがスイッチしてくれて2ラウンドの実戦練習をしたりとか…。チームとしての雰囲気は結構、良いですね」とお互いに高め合える環境に感謝した。 中谷が15歳で渡米したが、時を同じくしてアルバラードもルディ氏の指導を受けるようになった。その頃、オラスクアガもルディ氏の元にやって来て、ボクシングを始めた。生活を共にしながら、将来の夢を広げ合った3人。「他にもいたけど、何人かはボクシングをやめちゃって、今も続けているのはこの3人だけ。この3人が日本で試合をするなんて、始めた時は考えもしなかったけど、こうやって現実になっていって…。そういうところも楽しみながらやっています」と中谷。練習には時折、渡米したばかりの頃に下宿させてもらったルディ氏の父ロドルフォさんも顔を見せてくれるそうで、「やっぱり、うれしい。いつもと変わらないこの風景っていうか、そういうのがあると、初心に戻れるなって。前回はトニーと2人で世界チャンピオンになった。今回は3人でしっかり勝って、日本での滞在をいいものにしたい」と拳に力を込めた。 戦績は26歳の中谷が28戦全勝(21KO)、30歳のペッチが76勝(53KO)1敗、25歳のオラスクアガは7勝(5KO)1敗、33歳のゴンサレスが28勝(14KO)3敗1分け、25歳のアルバラードが10勝(5KO)2敗1分け。(谷口 隆俊)
報知新聞社