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【福島から伝えたい】コロナ禍の震災10年目 あの「問題の水」は海に放出するのか?

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福島中央テレビ

福島中央テレビ

 2年前の2018年。福島中央テレビは東京電力福島第一原発の構内で、国内メディアで初めて“ある水”を撮影した。見た目は透明で臭いは全くない。「トリチウム水」と呼ばれるこの水は多くの人にとっては聞き馴染みがなく、関心がないかもしれない。しかし、この水を巡り日本は世界に波紋を広げかねない事態に直面している。今回は、 連日の新型コロナウイルス関連ニュースに埋もれてしまっているトリチウム水の課題を掘り下げる。そして、トリチウム水と新型コロナウイルスに共通する私たちの「恐怖」との向き合い方について考えたい。

■敷地を埋め尽くす120万トン

 福島第一原発を空から見ると、敷地を埋め尽くすほどに並んでいる水色や灰色のタンクが目に入る。その中に保管されているのが「トリチウム水」だ。2011年の原発事故で、メルトダウンした核燃料を冷やす過程で発生する汚染水は、特殊な装置で日々浄化され、様々な放射性物質が取り除かれる。しかし、浄化装置で取り除けずにどうしても残ってしまうのがトリチウム。事故後10年間、東京電力はこの「トリチウム水」をタンクでの保管を続けてきたが、その量は120万トンを超え、2022年には保管スペースがなくなると説明している。

■蘇る風評被害の記憶

 そうした中、原子力発電所を管轄する経済産業省の有識者委員会は、今年2月に「現実的な選択肢は海か大気中への放出で、海洋放出の方が確実に実施できる」という報告書をまとめた。しかし、福島の漁師たちは「海に放出すれば、風評被害がまた起こる!」と口を揃え、一斉に反対の声をあげている。  漁師たちの脳裏には、思い出したくもない光景が蘇る。福島では原発事故の翌年から試験的な漁が始まった。放射性物質の検査をして安全が確認された魚種だけを水揚げするが、東京築地市場では福島の隣県の魚でさえもセリにもかけられない状況が続いた。そのセリの現場を目の当たりにした漁師たちに、当時の卸業者はこう伝えた。 「消費者は限りなくリスクがゼロのもの、絶対に安全なものを求める。取引再開は難しい。」  水揚げしても取引すらされない、セリにかけられても僅かな値段しかつかない…。福島の漁師たちは風評被害の怖さを、身をもって知っている。  全国漁業協同組合連合会も6月に「海洋放出に断固反対する」との特別決議をまとめた。海に県境はなく、国内だけでなく海外からも風評を招く恐れがあるからだ。福島第一原発事故以降、6つの国と地域(中国、香港、台湾、マカオ、韓国、アメリカ)では今も日本からの食品輸入に規制をかけていて、台湾の市民団体からは「海洋放出することでどういう影響がでるのか予想ができず、政府に反対の立場を示すよう呼び掛けたい。」との声も上がっている。

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