ネットは”称賛嵐”も…11点差TG戦でブルペン温存のため野手の増田大輝を投手起用…仰天の原采配はアリかナシか
首位を独走。「勝っている監督だからこそ許される」という戦略だったのかもしれないが、野手に抑えられた近本、大山のプライド、9回1イニングの攻撃を残して白旗をあげた姿勢は、お金を払って見てもらうプロとしてどうなのか、という議論はあってしかり。まして巨人は、日本球界を代表する伝統のあるチームである。 ヤクルト、阪神、楽天で、故・野村克也氏の薫陶を受けてきた橋上氏は、「野村さんなら絶対に野手に投げさせることはなかった」とも言う。 「野村さんが生きていたらどういうコメントをするのでしょうかね。野村さんの考え方には、メジャー式の負けゲームで野手を投手起用するというものは絶対にありませんでした。コーチ時代に、そういう準備を命じられたこともありません。オールスターで全パの監督だった仰木監督が、ファンサービスで打者・松井秀喜に対して投手・イチローをコールしたとき全セの指揮を執っていた野村さんが、ただちに投手の高津を代打に送りましたよね。『打者は打って当然。そういう起用は選手へのリスペクトを欠く行為だ。デッドボールでもいって万が一ケガでもさせたら誰が責任を取るんだ』などが理由でした。阪神時代に新庄に投手をさせ、オープン戦では投げさせましたが、キャンプで準備をさせていたし、敗戦処理ではなく、また別の目的がありましたからね」 橋上氏が、「最高の技術対技術、力対力を見せるのがプロ野球」というノムさんの哲学に触れたのは、96年7月21日のオールスターの第2戦で、パ・リーグ4点のリードで迎えた9回二死で起きた「投手イチロー」騒動である。 日本野球独特の美学をノムさんが表現したものだったが、合理的な戦術、戦略が評価される時代に、もう美学を語るのは時代遅れなのかもしれない。