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コロナと共生する時代 産業医が提案する新しい働き方

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NIKKEI STYLE

世界的に勃発したコロナ騒動で、今年の春は全く精彩を欠いた寂しい季節となってしまいましたが、皆さまいかがお過ごしでしょうか? 精神科医・産業医の奥田弘美です。 さて世界を震撼(しんかん)させた新型コロナウイルスですが、様々なデータや研究結果が集約された結果、いよいよ世界でも日本でも、コロナウイルスと付き合いながら経済を再開していく動きが始まっています。 例えば日本よりはるかに多い死者約8000人を出しているドイツは、5月6日付の政府声明においてマスクの着用義務や社会的距離(1.5メートル)の確保を継続しながらも、レストランや商店を含めたすべての店舗に人数を制限したうえでの営業再開を認めました。またすべての子供たちの学校再開が夏に向けて順次行われていきます。プロサッカーリーグの試合再開も認められ、5月16日から無観客で行われています。 そのほか欧州最悪の何万という死者を出したイタリア、スペイン、フランスもロックダウンを解除し段階的な経済再開を決定しています。 これらの国と比べても、死者数感染者数とも圧倒的に少ない日本(763人:5月18日公表分)でも、東京や大阪といった特定警戒都道府県以外は非常事態宣言が解除され、徐々に会社、店舗や学校の再開が始まりました。 これら世界的動向を見てもわかることは、いくら厳しい自粛を続けてもこれだけ感染力が強く世界中にまん延しきった新型コロナウイルスをゼロにまで撲滅するのは不可能であるということです。実際、散歩すらダメという強力ロックダウン政策を実施したフランスでさえも、感染者数を減らすことができませんでした。韓国は一時期ウイルスの抑え込みに成功したように報じられましたが、規制を緩和したらとたんにクラスターが発生しました。 徹底的な強固な自粛を行えば一時的に感染者は減るかもしれませんが、解除すれば再び感染者は増えてきます。また自粛期間が長引くほど経済的被害は拡大し、中小企業の倒産・労働者のリストラが相次ぎ、経済的困窮から自殺や犯罪などが増える可能性があることも、この緊急事態宣言中に私たちは痛切に体験しました。 こうした悲劇的な犠牲を伴う国民総自粛という荒療治を経た結果、われわれ人類は、いかにこの新型コロナウイルスと付き合いながら「生活の基盤となる経済」を回し、教育や文化、スポーツといった「人間らしい文化的生活」を維持していくかがこれからの対策の焦点となっていくのは言うまでもありません。 幸いにも日本国内でのデータ分析の結果、「感染すると高確率で死に至る恐ろしい殺人ウイルスではない」ことが明らかになってきました。 日本では神戸、大阪で集団に対して抗体検査が行われましたが、それぞれの結果より、神戸では既に4万人以上、大阪では既に8万人以上が新型コロナウイルスに感染していることが推定されるという報告がなされました[注1]。 つまりこの結果から考えられることは、実際にPCR検査を経て新型コロナ感染患者と認定された人よりも、はるかに多い人が「知らないうちに新型コロナウイルスに感染して、治癒している」という事実です。その一方で、感染しても無症状の人もいるため、感染拡大がなかなか止められないという面もありますが…。 5月4日には政府からは、新型コロナウイルスを想定した「新しい生活様式」が公表されました[注2]。 かなり細かく生活内容を規定しており覚えるだけでも大変そうですが、これらの内容を基本として、経済を担う現役世代や日本の未来を担う若者・子供たちが、新型コロナウイルスとどう付き合いながら経済活動や社会活動を行っていくのか、そのコツを産業医学的な観点から考えてみたいと思います。 [注1]抗体保持率は大阪市立大学の調査では大阪市内で約1%、神戸市立医療センター中央市民病院・神戸大学などの調査では神戸市内で約3.3%(性別、年齢を調整すると2.7%)という結果。 [注2]厚生労働省「新型コロナウイルスを想定した『新しい生活様式』を公表しました」

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