男子マラソン5位、中本の控え目人生
リオ五輪への期待
高校時代は5000mも15分台半ばの選手で、卒業後は地元山口県の徳山大へ入る予定だった。だがそんな彼を拓殖大の米重修一監督が拾い上げた。 大学時代も目立つ活躍はなかったが、米重監督が「1万メートルが28分台でも粘れない選手より、29分台でも粘れる選手の方が面白い」と安川電気に売り込んで採用してもらえた。 その後も直ぐには結果を出せなかったが、「マラソンになると大崩れをしない」と実業団の監督たちから評価されているうちにジワジワと力をつけ、28歳になった11年世界陸上から代表の常連になった遅咲きの選手だ。 ロンドンよりひとつ順位を上げた5位入賞。 中本は「順位が上がって去年より成長できたと思うけど、メダルが見えただけに嬉しさと悔しさは半々です。だから今後は、もっと勝負強さを磨いていきたい」と意欲を持つ。今年31歳になるがスピードに頼るタイプではないだけに、まだまだ実力を積み上げていけるはず。山頭監督は「自分のマラソンの形を確立したのだと思う」と評価し、自分でも「暑くなればなるほど自分のチャンスは大きくなる」と自信を持つだけに、この入賞でリオデジャネイロ五輪へ向けての意欲を、さらに大きく膨らませたはずだ。 (文責・折山淑美 /スポーツライター)