JFE建材、防災商品の販売好調。「J-スリット堰堤」は今期倍増へ
JFE建材(社長・久保亮二氏)が展開する防災商品の販売が好調だ。政府の国土強靱化策推進を背景に、2020年度上期は前年の設計織り込みが奏効したほか、下期は台風19号関連の需要が増加。鋼製透過型砂防堰堤「J―スリット堰堤」の上期受注は前年比倍増となった。09年からの累計施工実績は約800基となり、通期でも倍となる見通しが強まった。同社では「J―スリット堰堤」と後付式鋼製流木捕捉工「J―HDスリット」および小規模渓流対策工「JDフェンス」を“3本の矢“として拡販に努めており、製品ラインアップの拡充によって安全・安心な生活に貢献していく方針。 同社は防災商品について、営業・技術・工場が三位一体となってアイデアを出しながら改良を推進。「前へ出る営業」を強力に進めながら施主・コンサル向けの設計織り込み活動を続け、政府の「防災・減災、国土強靱化のための3カ年緊急対策」も追い風となり、受注に結びついている。 「J―スリット堰堤」は、大型案件から小規模まで全て対応可能な製品で、事前防災ハード対策として威力を発揮する。 また「J―HDスリット」は、不透過型の既設堰堤に流木捕捉機能を付与する製品。新設に比べコストも安く済み、既存ストックの有効活用も可能なことから18年の販売開始以来、市場からの評価は高い。20年度は10基以上と流木捕捉工としては高い販売実績となり、1件当たりの規模も大きかったという。 「JDフェンス」は豪雨災害が激甚化する中で頻発する小規模の土石流・流木被害を防ぐ。小規模渓流は全国に数万カ所存在し、今後の採用拡大が期待できる製品。基礎のバリエーションを増やすなど対応力を強化しており、砂防以外にも道路関係などへ領域を拡大したい考えだ。 さらに「津波バリアー」は、漂流物対策に用いられ、海岸沿いに立つ電力・ガス会社や工場など民間向けの需要が拡大。高潮津波バリア研究会と協力して販売を推進し、東北や西日本などで採用。20年度は例年の1・5倍ほどの受注となった。今後、東南海地震などへの備えとしての採用拡大も期待される。 防災商品のラインアップは拡充を続けており、今年度は鋼製保護枠と大型土嚢を組み合わせた「応急土石流ガード」を開発。災害直後、即座に応急復旧ができる製品で、国土交通省などの評価も高いという。小型で軽量のため、備蓄ができるメリットもあり、採用拡大が期待される商品だ。 同社では今後もニーズに対応した製品を提供していく方針。