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【論説】気候変動問題に立ち上がる若者たち──英国を分断する新たな亀裂

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The Guardian

【ガーディアン論説委員】  9月20日、世界中で約400万人が学校ストライキに参加し、各国政府に対して示した抗議の意にどれほどの力があったか定かではない。だが、この活動を支援した環境活動家のグレタ・トゥンベリさんが23日に国連(UN)で行った演説が、大きな影響力を与えたことは間違いない。「未来の世代のみんながあなたたちを見ている。私たちを失望させるようなことをしたら、絶対に許さない」。トゥンベリさんが公の場であれほど怒りをあらわにし、辛辣(しんらつ)な言葉を口にしたのは初めてだった。 「気候正義」という考えは、少なくとも20年ほど前からあった。当初は、気候変動の最前線にいる国々と交渉を行う関係機関との間の不平等な取り組みを説明するために使われていた。端的に言えば、二酸化炭素排出量の削減は公正さなくして行うことはできず、富裕国と貧困国の負担は異なるべきだという考えだ。  この原則は今も極めて重要だ。しかし、この1年で気候変動をめぐる若者たちの活動が急激に盛んになったことで、世界的な議論の場において、気候正義という言葉の意味は劇的に変わってしまった。世代間倫理の問題も表面化している。国や国際機関の取り組みが相次いで失敗していることへの絶望感と、温暖化が進み、生態系が破壊されつつある世界を受け継ぐことへの不安の高まりから、若者たちは、各国首脳らに挑戦状をたたきつけ、それを拒否した場合はどんな代償を払うことになるか警告している。  政治家や専門家らがそうした声をどれほど深刻に受け止めるかは、彼ら自身が「気候非常事態」をどう見ているかによるところが大きい。9月24日に開かれた英労働党の党大会では、二酸化炭素排出量を実質ゼロにする目標を、英国政府の気象政策顧問らが定めた時期よりも20年早い2030年までに実現させることを公約とする動議が可決された。これは大きな政治的変化であり、政治に向けられる英国民の目が冷ややかな昨今、メディアで大きく取り上げられているようだ。  こうした政策が実施されれば、エネルギーや交通、農業をはじめ多くの物事が変わることになる。たとえ現在の二酸化炭素排出量の削減目標は達成できそうもなく、ここ数年の成果はお粗末であるにせよ、英国の環境保護活動家たちは、自分たちの懸念や学校ストライキ、「絶滅への反逆」といった抗議活動が影響を及ぼしていることを喜んでいいだろう。  国際的に見ると、状況は複雑だ。米国とブラジルの両政府は、環境問題において時代に逆行しており、地球温暖化の脅威に立ち向かう国際社会の取り組みに対する最大の障壁となっている。こうしたばらつきや、この1年間に環境保護活動家らがかつてない動きを見せていることなどから、今後を予測するのは難しい。  世代間の違いが大きいのは、環境保護問題だけではない。英国では、欧州連合(EU)離脱(ブレグジット)や住宅の問題もある。異なる世代の有権者に優先順位の違いが見られることは珍しくない。しかし、未来に対する危機感については、若者と高齢者の間に大きな隔たりがある。政治に新たな分断が生じつつある。【翻訳編集】AFPBB News 「ガーディアン」とは: 1821年創刊。デーリー・テレグラフ、タイムズなどと並ぶ英国を代表する高級朝刊紙。2014年ピュリツァー賞の公益部門金賞を受賞。

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