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【道の駅なみえ】誇りと文化の発信を(7月30日)

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福島民報

 浪江町の「道の駅なみえ」が来月一日、一部供用を始める。フードコートと産地直売所から営業を開始し、来年一月には地酒醸造と焼き物展示の施設がお目見えする。古里の伝統文化を体感できる道の駅は出色だ。全町避難によりゼロからのまちづくりに取り組む町民の、誇りと文化を発信する拠点になってほしい。  東日本大震災と東京電力福島第一原発事故発生後、沿岸部に誕生する初めての道の駅となる。国、県、町が整備し、一般社団法人「まちづくりなみえ」(佐藤良樹代表理事)が管理・運営する。「復興の起爆剤」と町民の期待は高まっている。  施設は六号と一一四号の両国道が交わる同町幾世橋地区に位置する。建物内のフードコートは地元の請戸漁港で水揚げした魚介類を使った料理を提供し、産地直売所は地元産の農作物や魚介類、民芸品をそろえる。焼きたてパン工房もあり、名物のなみえ焼そばを使った総菜パンなどを販売する。施設の北側には請戸川が流れ、春には美しい桜並木が土手を彩る。交通の便は良く、交流・観光拠点として魅力にあふれている。

 伝統文化の再現・発信拠点となるのは、本体建物に隣接する地場産品販売施設だ。山形県長井市で醸造を続けている鈴木酒造店が「磐城壽[いわきことぶき]」を仕込み、製造工程を公開する。国の伝統的工芸品「大堀相馬焼」の展示・即売と陶芸体験コーナーの設置も計画している。外壁には陶板タイルを貼り付ける予定だ。地域資源へのこだわりから郷土愛が伝わる。町民は外観を見ただけで懐かしさを覚えるはずだ。  鈴木酒造店の酒と大堀相馬焼は町を代表する逸品だ。古里の水と土、町民の技に育てられ、生活に溶け込んでいた伝統産業の地元再開は復興に向けて象徴的な意味を持つ。町外での生産を今なお強いられる中、一部とはいえ醸造施設と陶芸作品が戻ってくるのは望外の喜びに違いない。勇気と希望を与え、復興加速への意欲をかき立てるだろう。  開所後は施設をどう活用していくかに知恵を絞りたい。田植え踊りや神楽など、町は民俗芸能の宝庫だった。震災以降は関係者が全国に四散したため継承が難しくなっている。披露や稽古の場として提供し、伝統の継承と後継者育成につなげてはどうか。相双地方の先行施設との連携を強めれば、発信力も増す。

 最新の機能と多彩な伝統文化が溶け合った道の駅は、町に活気を取り戻す。交流人口拡大に加えて、浪江ならではの文化再生の「舞台」ともなるよう望む。(鞍田 炎)

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