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[新型コロナ] “異例の安値”産地は出荷制限 花 行き場失う

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日本農業新聞

 新型コロナウイルスの感染拡大で7都府県に発令された緊急事態宣言を受け、花き産地が苦境に陥っている。入学式などのイベントが相次いで中止となり、家庭消費に期待が高まる中、大手生花チェーンなど多くの店舗が臨時休業に追い込まれている。産地では、作っても出し先がなく、落胆の声が広がる一方で、対応に追われている。

赤字覚悟「続ける」 JAふくおか八女

 全国トップクラスのガーベラ産地である福岡県広川町。通常は「ガーベラ記念日」(4月18日)やその後の「母の日」(5月第2日曜日)に向けた需要期だが、緊急事態宣言発令で様相は一変した。JAふくおか八女花き部会広川ガーベラ部の山下和彦部長は、発令後の週末に、22アールのハウス内の約半分のガーベラを切り倒した。母の日以降改植予定だった品種と、婚礼中心で買い手がない品種を切り、出荷を制限する。昨夏の大雨で浸水被害を受けた部会員もいる。切った花が残るハウスで「これ以上何かあったら、続けられない人が出る」と話す。  全国大手7卸のデータを集計した日農平均価格によると、ガーベラは8日以降、1本10円台という異例の安値に陥っている。15日は15円と前年同時期と比べ10円近く安い。山下部長は「3月時点で婚礼需要の落ち込みもあり、売り上げは通常の3割減った」と話す。  部会員7人が使う選花場の利用料は1本当たり平均11円で「選花場に持ち込んだ時点で赤字」(JA広川地区営農販売グループ)の状態。しかし、選花場のパート職員を確保し続けるため「今は苦しくても、借金をしてでも、続けようと部会員に声を掛けた」(山下部長)という。  ガーベラ記念日関連の企画では、毎年JA直売所「よらん野」で来店客にガーベラをプレゼントしていた。毎年100人近く集まるため、感染リスクを抑えるため開催を見送った。急場をしのごうと、3月には町職員やJA関係者に声を掛け40本束を販売し、160束を買ってもらった。選花場では市場出荷に回さない分を1本20円から直売し、口コミなどで地元の利用客は増えている。しかし、売り上げの落ち込みをはね返せる金額には至らない。首都圏に向けては約5万本を、記念日関連で出荷予定だった。  JAは独自の通販サイト「よらん野Web」で、50本入りのガーベラを4300円(送料込み)で販売している。しかし「現状で問い合わせ件数に変動はない」(JA花き部)という。  生産者は別の問題にも直面している。改植予定の苗は、オランダの種苗会社からの輸入品。昨冬に注文したが、海外でのウイルスまん延で今も入荷のめどが立っていない。改植できない場合は株をそのまま残して育てるが、収量が落ち、手入れに一層手間がかかるため、負担増は確実だ。「ただ普通に出荷したい」。山下部長は切望する。  パーク・コーポレーション(東京都港区)が運営する青山フラワーマーケットは8日、105店舗の休業を決定した。ガーベラ記念日向けのフェアを今週から展開する準備を進めていたが、オンラインショップでの新規注文の受け入れも停止。来月10日に「母の日」が迫るが「必ず影響が出る」(同社)と警戒する。

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