平均年齢74歳の女優たちが演じる「私たちとセックス」【ジェーン・スー&高橋芳朗 ラブコメ映画講座#38】
ジェーン・スーも高橋芳朗も大絶賛! 平均年齢74歳のバイタリティあふれるオトナたちが描く、シニア世代の新たなラブコメが登場した。この作品の魅力とは?
『また、あなたとブッククラブで』
-- 現在、劇場公開中の『また、あなたとブッククラブで』(2018年)です。いかがでした? ジェーン・スー(以下、スー):年末にいいものを観させてもらいました。これでもか! と名優ばかりを配した、贅沢なラブコメ映画でした。 高橋芳朗(以下、高橋):では、さっそくあらすじから。「40年連れ添った夫を亡くしたダイアン(ダイアン・キートン)、複数の男性たちとの関係を楽しんでいるビビアン(ジェーン・フォンダ)、離婚のトラウマに苦しんでいるシャロン(キャンディス・バーゲン)、そして熟年夫婦の危機に直面しているキャロル(メアリー・スティーンバージェン)。長年の友人である彼女たちは日々悩みながらも各々のライフキャリアを築き、4人で読書を楽しむ“ブッククラブ”を定期的に開催して交流を続けていた。そんなある日、課題図書としてお題に上がったのはベストセラー官能小説『フィフティ・シェイズ・オブ・グレイ』。彼女たちはそのスキャンダラスな内容にたちまち感化されると、悩ましい日々を忘れて恋にロマンスにと気持ちも行動も大胆になっていくのだが…」というお話。 スー:「官能小説を読んで、眠っていた恋心が疼く…」って、随分簡単な話だなと思うかもしれないけれど、今年はいろいろあって疲れたもん。世知辛いリアリティより、元気をもらえるファンタジーが心地よかったわ。この映画では「いい年して」って言葉は禁句だよね。監督のビル・ホルダーマンが「社会やハリウッドには年齢による差別がはびこっている。ある年齢を迎えると、自分の存在意義は終わったと考えるようになってしまう。社会の認識なんて気にする必要はない! 克服すべき唯一の障害は、自分の考えだけなんだ!」って言ってて。まさにそれを体現してると思った。アラサー世代もばっちり共感できるテーマだけど、シニア世代が演じると希望に満ち満ちるよ。 高橋:主演陣のやり取りを見ていると、その明け透けな会話からしてもどうしたって『セックス・アンド・ザ・シティ』のあの4人を連想しちゃうよね。ダイアン・キートンが4人の関係性について「登場人物たちはとても強い絆を維持している。誰でも必ず“歳を重ねる”ことに向き合わなくてはいけないけど、頼れる人がいることが彼女たちにとってとても重要な役割を果たしています」とコメントしているんだけど、まさにそんなシスターフッド感が本当に最高で。