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セではストッパーが崩壊…故障者続出と危機管理【プロ野球界の“異変”を追う】

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ベースボールキング

◆ 第3回:調整と見極めの難しさ  セ・リーグのストッパー崩壊が話題を呼んでいる。  巨人の160キロ剛腕、R.デラロサ投手が左脇腹の肉離れで出場登録を抹消されたのが今月6日のこと。すると6日後の12日には阪神の守護神・藤川球児投手が右肩コンディション不良、その前には広島で抑えを期待されたT.スコット投手も二軍落ちを命じられている。5試合の成績が0勝2敗、防御率に至っては「21.00」だから、よほどのことがない限りストッパーに戻ることはないだろう。  ではそれ以外の3球団の台所事情はどうか?  昨年後半から抑えを任されて13セーブを挙げた中日の岡田俊哉投手は、春先から調子が上がらずに本番を迎えたが、勝負所で打ち込まれる場面が増えて現在ではR.マルティネスが代役を務めている。 ヤクルトの石山泰稚投手も盤石とは言い難い。2年連続最多セーブのDeNA・山﨑康晃投手も15日現在6セーブは記録しているものの、防御率4.70が物語るように、これまで8試合に登板して三者凡退が一度もない。 ◆ 五輪イヤーとコロナ禍  パ・リーグではオリックスのエース・山岡泰輔投手が6月下旬に左内腹斜筋の筋挫傷でリタイアし、西武の盗塁王・金子侑司選手が首を痛めて登録抹消。他にも中日の高橋周平選手が左太もも裏肉離れで、DeNAの新外国人、T.オースティン選手が右手の違和感、広島の森下暢仁投手やヤクルトの石川雅規投手らがコンディショニング不良で再調整となっている。  まだまだ、名前を挙げたらきりがないほど故障者が続出しているのが今季の大きな特徴の一つと言えよう。  近年、選手たちの始動は早い。シーズンオフの間も筋トレや体作りに励み、温暖な地で自主トレに汗している。今季の場合は当初、東京五輪が予定されていたためペナントレースの日程も3月20日開幕に前倒し。調整ピッチは例年以上に早かった。  そこへコロナ禍である。開幕は4月、5月と模索されたが、結局は6月までずれ込んだ。春のオープン戦が中止になり、練習試合が再開するまで2カ月ほどの空白が生まれる。その間、球団ごとに練習法は異なるが各自の調整が主体となり、完全な中止期間を作るチームもあった。  一度作り上げた肩や体を緩め、さらにもう一度もとに戻すのさえ難しいのに、開幕日が確定しないのだから張りつめた心の持って行き方もどうすればいいのかわからない。かつて経験したことのない異例づくしのシーズンだからこそ、故障者や本来の調子を取り戻せない選手も多く出たのだろう。 ◆ コンディションの見極めと難問  「3カ月近く実戦から離れ、短い調整では体が急激な負荷に耐えられない。急ごしらえの上に開幕直後の疲れも出やすい」と、あるフィジカルコーチは語る。加えて、急ごしらえの開幕は首脳陣に戦力の見極めを難しくさせた部分もある。代表例は阪神だ。  巨人との開幕カードでは4番に期待の大砲、J.ボーア選手を起用するが弱点を露呈すると3戦目にはJ.マルテ選手に交代。そのマルテも左ふくらはぎを痛めて戦列離脱する。 投手陣でもセットアッパーとして期待したJ.エドワーズ投手が右肩を痛め早々にリタイア、7月に入っても、これまた新助っ人のJ.ガンケル投手を一軍に呼んだら、わずか数日後には腰の張りを訴えて二軍に逆戻り。こんなドタバタ劇を演じていては、首脳陣に限らず外国人獲得にあたった担当の眼力を疑われても仕方ない。  今季はコンディションの維持で新たな難問も抱えている。コロナ感染予防の観点から国立感染症研究所では「濃厚接触者」の定義を「患者と15分以上接触があった者」としている。これには各球団トレーナーも選手の体のケアに割く時間が制限される。  これから待ち受けるのは夏本番の猛暑と超過密日程だ。これ以上故障者が続出するようだとチーム崩壊の危機まではらむ。戦力層の厚い巨人やソフトバンクは傷口を最小限で抑えられても、そうでない球団はいよいよ苦しい。異例で異様なシーズン。ここでも組織の危機管理が問われてくる。 文=荒川和夫(あらかわ・かずお)

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