「ソーシャルディスタンスは不要」WHOの方針転換と世界で拡散→誤り
新型コロナウイルスの感染者について、WHO(世界保健機関)が「隔離や検疫の必要はなく、患者が他人に感染させることはない。ソーシャルディスタンスは不要」と発言した、との情報がTwitter上で拡散した。この情報は、誤りだ。BuzzFeed Newsはファクトチェックを実施した。【BuzzFeed Japan / 瀬谷健介】
情報は7月3日、アメリカ人で声優の男性が動画付でツイートし、世界中に拡散した。こう訳すことができる。 《速報: WHOが完全に方向転換し、新型コロナウイルス感染症の患者は隔離、または検疫の必要はないと言った。ソーシャルディスタンスは不要で、患者は他人に感染させないとも。 ビデオを観て。 #コロナ詐欺》
この投稿は、少なくとも3万以上リツイートされた。日本語で引用リツイートするユーザーもおり、日本でも拡散した。現在は、Twitterルールに違反したとして表示されない。
流れた動画の中身
動画はニュース番組の一部で、WHOの感染症疫学者・マリア・バン・ケルコフ氏の発言部分を切り取って紹介していた。6月8日の記者会見での以下の箇所だった。 《我々が持っているデータから見ると、無症状の感染者から他人に2次感染を引き起こすことは、稀なように見えます。》 番組では、この発言を紹介したあと、2人がこんなやりとりをする。 《司会者「私が思うに、WHOのメッセージは『無症状の感染者は感染させない・感染症を拡大させない』ということかと。WHOが言っていたのは、つまりこういうことですよね?」 有識者「そうです。私たちが議論してきた新型コロナウイルスにまつわる事柄の中で、もっとも重要なのが今回の発表です。WHOは、新型コロナに関する見解を大転回したわけですから」 「これは大きなニュースですよ。外にいる無症状の感染者から感染はしません」「無症状の感染者でも、他人に感染させてしまうリスクがあると私たちは認識していたのに、感染は稀だと言うんです」》