「ソメイヨシノ」発祥の地 東京・豊島区が進めるブランド化計画
気象庁は3月21日、東京でサクラが開花したことを発表しました。東京では、靖国神社や上野公園、飛鳥山公園などがサクラの名所として知られます。3月末から4月初旬にかけて、東京のサクラの名所はたくさんの人出でにぎわうことになります。 サクラは日本人にもとても人気のある花ですが、中でもソメイヨシノは抜群の知名度と人気を誇ります。ソメイヨシノの名前を知らない日本人はいないと言っても過言ではないでしょう。そんなサクラの代表品種であるソメイヨシノが、豊島区の発祥であることは意外に知られていません。
駒込一帯の植木職人が品種改良
ソメイヨシノは、江戸時代に駒込一帯(当時の染井村)に住んでいた植木屋集団がエドヒガンとオオシマザクラを品種改良して誕生したといわれています。そのソメイヨシノが、明治半ばから人気になり、全国で植えられたのです。そうした歴史的経緯から、豊島区はソメイヨシノ発祥の地であることをPRしています。しかし、区内在住者などでもそれを知る人は多くなく、区外ではほとんど知られていません。 「豊島区は2012(平成24)年に区制80周年を迎えました。それを機に区のシンボルマークをリニューアルしたのですが、新しいシンボルマークはソメイヨシノをモチーフにしたデザインを採用しました。これは、ソメイヨシノが豊島区のシンボルであること。もうひとつの目的として豊島区がソメイヨシノの発祥地であることを全国にPRすることが狙いです」(豊島区文化商工部文化観光課)
2013年からPRプロジェクト
シンボルマーク制定後、豊島区はさらにソメイヨシノをPRするため、「ソメイヨシノプロジェクト」を2013年10月からスタートさせました。 「プロジェクト発足前から、駒込の商店街や町内会ではソメイヨシノをPRしていました。『ソメイヨシノプロジェクト』はこれらの活動を後押しするものです。そうした背景から、プロジェクトのスタート時は“どんな取り組みをしたらいいか?”という、聞き取り調査から始めました。区と商店街・町内会でPRのためのポスターやパンフレットグッズ類を制作していますが、行政として特に力を入れているのがソメイヨシノをほかの市町村に寄贈することです」(同) プロジェクト発足から2014年度末までに、豊島区は福島県猪苗代町と埼玉県秩父市などに66本のソメイヨシノを寄贈し、記念植樹されています。 「今年は新たに静岡県伊東市に駒込の苗床で育ったソメイヨシノ6本を植樹する予定になっており、伊東市からは伊東小室桜が豊島区から寄贈されました。豊島区から全国の自治体にソメイヨシノを贈り、それらが植樹されることで都市間交流を深め、そうした友好関係によってソメイヨシノ発祥の地・豊島をPRしていきたいと思っています」(同)