「消費税を下げると年金3割カット」って本当?専門家に聞いた
「消費税を下げるとなると年金財源3割カットしなければならない」ーー。 自民党の茂木敏充幹事長がこう発言したのは、6月26日のNHK日曜討論での場面だった。 【一覧表】「3階建て」の年金のしくみ 食品やエネルギー関連などの価格が上がり、生活を直撃する物価高が続き、消費税の減税や廃止を訴える野党もあるなか、茂木氏は「皆さんからお預かりしている消費税、これは年金、介護、医療、そして子育て支援、社会保障の大切な財源でして、これをですね、野党の皆さんがおっしゃるように下げるとなりますと、年金財源3割カットしなければなりません」と語った。 この発言がSNS上で広まると、「消費税が下がると年金が3割カットされるの?」「(消費税を下げさせない)自民党の脅しだ」などの声が上がった。 茂木氏は、放送翌日の6月27日の水戸市での街頭演説でもこの話題について触れた。 「選挙が近づくと、野党の皆さん、必ず消費税を下げます、そういうことを年中行事のように言い出すわけであります」 「ただ、消費税、皆さんからお預かりしてる大切な消費税、これは年金、医療、介護、子育て支援、この社会保障の大切な財源なんですよ。もし野党の言ったような形にするとですね、年金も3割削らなきゃいけない。その財源を。そんなことができますか?非現実的なんですよ」
「年金3割カット」ではなく「年金財源3割カット」
茂木氏の発言からは、消費税を下げた場合に起きると主張しているのは、「年金『給付額』の3割カット」ではなく、「年金『財源』の3割カット」だということがわかる。 つまり、SNSなどで散見される「消費税が下がると年金(給付額)が3割カットされる」との言説は誤りだ。
「年金財源3割カット」ではなく「社会保障財源3割カット」?
だが、茂木氏は後に発言を修正している。 朝日新聞デジタルによると、6月28日の沖縄県北谷町での街頭演説では「皆さんから預かっている大事な消費税は年金、医療、介護、子育て支援、社会保障の財源だ。もし野党が言ったようにすると、この社会保障財源を3割カットしなければならない」と発言したという。 共同通信によると、28日夜のBSフジ番組でも「社会保障の重要な財源だ。11兆円の穴があく」などと語ったという。 「年金財源の3割カット」ではなく、「社会保障財源3割カット」が本意だったのだろうか。では、消費税を下げたら「社会保障財源3割カット」は正しいのだろうか。