同居せざるをえない親と離れたい...大人になっても「親子関係がギクシャクする」原因
親との距離感が難しい理由
前項で、「親との距離感」というテーマが出てきました。大変重要なテーマなので、少し掘り下げていきたいと思います。親との関係性で悩む人は案外多くいまして、しかも若い頃だけの問題ではなくて、壮年期、中年期になっても悩むのです。 お悩み相談として持ち込まれることもありますし、実際に患者様の診察をしていてもよく見受けられます。私自身も、既に45歳になっていますが、母親と話すときに上手く距離がとれていないなと感じることがあります。 その原因は、「親に認められたい」という気持ちではないかと思います。 親は幼少期の子供にとっては絶対的存在です。強く、自らを庇護してくれる存在でもあり、一方で厳しく、世の中のルールを教えてくれる存在でもあります。親のもとで育つうちに、子供は自然と「親に認められたい」という気持ちを抱くのです。 しかし、親も誰かの子供であり、絶対的に正しい存在ではない。一人の人間にすぎないわけです。 ですから、どんなに素晴らしいことであっても認めてくれるとは限らない。それどころか、親より子供の方が、よっぽど人間性ができているなんてこともあります。 それだといつまでたっても、親子間の関係性は変わりません。親は親、子は子。親子がひっくり返ることはない。二人の関係性は変わらないので、どうしても「親に認められたい」という期待が顔を出すことになります。 頭では「この人に認めてもらっても仕方ないよな。認めようとはしないよな」とわかっていても、親と話すとどうしてもイライラしたり、感情的になったりしてしまう。これは親への期待がどうしても顔を出してしまうからなのです。 また「親に認められたい」という感情はやっかいで、自分の気持ちと行動を裏腹にしてしまいます。たとえばこのような例があります。母親がいわゆる「毒親」で、自分の価値観や自分の都合ばかり子供に押し付けようとする。子供は充分母親の性格をわかっていて毛嫌いするんだけれど、電話がかかってくると出てしまう。家にやってくると玄関を開けてしまう。 こういうときの対処方法は、改めて「親は絶対的に正しい存在ではない」と理解すること。そして、前項でも伝えたように、心理的距離をとること。物理的な距離がとれていても、心理的距離をしっかりとることを意識してください。