400万円近い差も⁉大企業か中小企業か、勤め先の規模で貯蓄が変わる?
勤め先によって給料に格差があることは、もはや言わずと知れたところですよね。とくに、大企業と呼ばれる会社と中小企業とでは、月の給料やボーナス、退職金などさまざまな面で差があるといわれています。 中小企業庁が令和2年4月に公表した2020年版「中小企業白書」。これを見ると、2008年に起きたリーマン・ショックで大企業の生産性が大きく落ち込むなか、中小企業は横ばいで推移。その後大企業は緩やかに上昇したものの、中小企業では大きな変化はなく、現在大企業と中小企業との格差は以前より広がっている状態であることが分かります。今回は、そんな大企業と中小企業の収入・貯蓄について考えてみました。
コロナ不況が及ぼす企業への影響
再び猛威を振るい始めた新型コロナウイルス感染症(COVID-19)による経済への影響は、さまざまなところに出てきています。旅行客減少で経営に苦しむANAホールディングスの「2021年3月期 第2四半期決算短信〔日本基準〕(連結)」(2020年10月27日)では、最終利益が5100億円の赤字になると公表。同社では月給を減らしたりボーナスを見送ったりと、大企業であっても人件費にも大きな影響が出てきているのです。 2020年度版「中小企業白書」によると、台風などの自然災害リスクに対し「対応を進めている」と答えた割合は、大企業4割・中小企業2割にとどまりました。企業規模に関わらず、半数以上の企業で自然災害リスクに対する取り組みが進んでいないのです。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)による影響は大きく、政府や商工団体の「新型コロナウイルスに関する相談窓口」の利用状況は98.9%が資金繰り関係の相談であり、とくに「飲食業」「製造業」「卸売業」「小売業」「宿泊業」が相談を寄せている傾向がみてとれます。
「大企業」と「中小企業」その収入と貯蓄の差は?
こんな状況であるからこそ、日頃からリスクに備えた貯蓄をすることの大切さを思い知らされます。それでは、大企業と中小企業に勤める人のそれぞれの収入、および貯蓄の差はどのくらいあるのでしょうか。総務省統計局「家計調査 / 貯蓄・負債編 二人以上の世帯(2019年) 7.世帯主の勤め先企業規模別」より、世帯主が勤務する企業規模別の平均年間収入・貯蓄・負債を一部抜粋してご紹介します。 【全体平均】 年間収入:736万円 貯蓄額:1,376万円 負債:855万円 純貯蓄額:521万円 【企業規模30~99人】 年間収入:627万円 貯蓄額:954万円 負債:771万円 純貯蓄額:183万円 【企業規模1000人以上】 年間収入:857万円 貯蓄額:1,622万円 負債:1,049万円 純貯蓄額:573万円 企業規模30~99人の会社に勤める人は、平均値を全体的に下回っています。また、貯蓄額から負債額を引いて算出した純貯蓄額で比較してみると、「企業規模30~99人」が183万円であるのに対し、「企業規模1000人以上」は573万円と、その差は390万円にもなるのです。さらに、年間収入にも230万円の差があります。もちろん個人差が出やすい部分ですが、企業規模によって収入・貯蓄にここまでの差が出てしまうという格差の現状が垣間見られるのではないでしょうか。