日本生命Gと協業で、王者ベネワンに攻勢。福利厚生ベンチャーが20億調達
「非常に強い強豪がいる。(戦略的パートナーシップは)対抗策として当然意識している」(HQ・坂本祥二CEO) 【全画像をみる】日本生命Gと協業で、王者ベネワンに攻勢。福利厚生ベンチャーが20億調達 AIを活用した新たな福利厚生サービスを展開するスタートアップ・HQは2024年12月12日、シリーズBラウンドで20億円の資金調達と、日本生命の100%子会社のVC、ニッセイ・キャピタルなど3社との戦略的パートナーシップの検討開始を発表した。 福利厚生サービス業界では、「ベネフィット・ステーション」を運営する業界大手のベネフィット・ワンが2024年5月、第一生命によって約2920億円で買収され完全子会社化になっている。 HQとしては日本生命グループとの連携を深めることで、圧倒的なシェアを誇るベネフィット・ワンら先行するサービスとの差別化を打ち出したい考えだ。
サイボウズやオルビスも導入
2021年に創業したHQは、リモートワークに特化した福利厚生サービスに加えて、2024年4月からはベネフィット・ワンや、「福利厚生倶楽部」を運営するリロクラブの強豪となる福利厚生サービス「カフェテリアHQ」を開始した。 カフェテリアHQの具体的な契約社数や売り上げは公開していないが、HQによるとオルビスやサイボウズ、タイミーやKubell(旧Chatwork)など、大小さまざまな規模の企業で導入が進んでいるという。 12日の記者会見には、戦略的パートナーシップを検討する企業として、ニッセイ・キャピタル、オムロン、NTTデータ・スマートソーシングの3社の代表も出席した。3社はシリーズBの資金調達でも新規投資家として出資している。 ニッセイ・キャピタルの上田宏介社長は会見で、これまでも出資したスタートアップなどと「日本生命グループの協働と事業シナジーの獲得を追求してきた」と説明した。また今回の戦略的パートナーシップの検討についても、日本生命グループの「非保険分野の新サービス」として成長することへの期待をにじませた。 「日本生命の本業である保険や年金といったものに留まらず、足元では企業の大きな課題である人的資本経営に資するようなさまざまなサービスを提供している。 (HQとの戦略的パートナーシップは)単にお客様の紹介だけに留まらず、両グループの強みを生かしながら、サービスをより良くしていくような高度化に取り組んでいけると思っている」(上田氏) ベネフィット・ワンを子会社した第一生命は、2024年度から3年間の中期経営計画で非保険領域の利益貢献を「2030年に600億円規模に成長させることを目指す」と明記しており、そのための新規事業として「ベネフィット・ワンのプラットフォーム強化を始めとした戦略投資」を位置づけている。
横山耕太郎