「ひとごとではない。たまたま秋田だっただけ」クマのスーパー立てこもりを受け、野生動物研究者が警鐘 なぜこの時期、市街地に?対策は?来春はさらに危険?
IBC岩手放送
秋田市内のスーパーマーケットで11月30日、店内に侵入したクマに襲われた従業員の男性がけがをする事態が発生しました。クマの生態に詳しい研究者は、市街地に出没した今回の騒動が岩手にとっても「ひとごとではない」と警鐘を鳴らします。 【写真を見る】「ひとごとではない。たまたま秋田だっただけ」クマのスーパー立てこもりを受け、野生動物研究者が警鐘 なぜこの時期、市街地に?対策は?来春はさらに危険? 11月30日、秋田市のスーパーマーケットで、開店の準備をしていた40代の従業員の男性が店内に侵入したクマに襲われけがをしました。 クマはその後も店内に留まり、わなにかかって店の外に運び出されるまでにかかった時間はおよそ55時間。解決までに2日以上も要しました。 現場となったスーパーマーケットがあるのは、周囲にホテルや集合住宅も建つ市街地でした。 なぜこの時期に、しかも市街地にクマが現れたのでしょうか? 野生動物の生態を研究する岩手大学の山内貴義准教授は、次のように推測します。 (山内貴義准教授) 「山の実成りもほぼ終わりで通常であれば冬眠に入るが、まだ寝ないで里まで出向く個体がいる。それで今回、運悪く市街地まで出たことは言えるかもしれない」 隣接する秋田県で発生した今回の騒動。 同じようなことが県内でも起こりうる可能性はあるのでしょうか。 (山内貴義准教授) 「岩手も秋田と同じくらいクマがたくさん生息していて密度も高い場所。まったくひとごとではない。今回はたまたま秋田だっただけで、明日岩手でも同じようなことが起きてもまったく不思議ではない状況」 山内准教授が「ひとごとではない」と指摘する背景には、近年の岩手県内のクマの出没傾向がありました。 2022年8月には盛岡市の開運橋の近くにクマが出没。 また2024年1月には北上市の商業施設に子グマが侵入しました。 このような市街地での突発的なクマの出没への対応は簡単ではありません。 (山内貴義准教授) 「対策が全部場当たり的な感じ。入っちゃってからさあ、どうしようと。非常に計画性が取れないような状態で対策しているので全部後手に回ってしまう」 山内准教授は、市街地にクマが出没しないようにする山際での対策や環境整備が重要と話します。
(山内貴義准教授) 「今年繁殖が良かったと思うので、来春は要注意かなと。草がぼうぼうになってから草を刈るよりも予めブッシュ(茂み)となるようなものは枯れているうちに払っておく、雪解けと同時に電気柵の電気を入れ始めるなど早めの対策が必要かなと思う」
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