清水エスパルス J2優勝の原動力は“秋葉チルドレン”+「1点差試合14勝2敗」…シーズン総括
J2清水エスパルスは今季26勝4分け8敗、勝ち点82を積み上げてリーグ優勝、3季ぶりのJ1復帰を果たした。昨季わずか勝ち点1、1得点の差で手が届かなかった目標を全員の力を結集して達成した。就任2年目を迎えた秋葉忠宏監督(49)の下、着実に進化してきたチームの軌跡を振り返る。 「負けて泣いてんじゃねえ」から330日。清水は着実にたくましくなった。昨年はJ1昇格プレーオフ決勝でアディショナルタイムに失点し、引き分けで敗退。国立のロッカールームで涙にくれる選手たちに鬼の形相でカツを入れた秋葉監督の下、1年間で生まれ変わった姿を見せた。 新戦力がフィットした。昨季限りで大熊前GMが退任。独善的だった前体制とは変わり、昨オフは内藤強化部長を中心に強化部全体で秋葉監督の意見を聞き取りながら進め、DF住吉ら指揮官が以前の所属チームなどで指導した“チルドレン”を複数獲得した。 住吉は31試合に出場してDFの中心を担った。また指揮官が「強化に無理を言って取ってもらった」というMF矢島も複数のポジションをこなしながら6得点4アシスト。試合終盤に展開を変える切り札として存在感を見せた。反町GM就任以降も夏場にMF宇野を獲得するなど、J2屈指の選手層を維持し続けた。 戦いぶりに派手さはなくても、最大の課題だった「勝負弱さ」は克服した。昨季はいわきを9―1で下すなど、5得点以上を4度記録したが今季の1試合最多得点は4。一方、1点差試合は昨季の9勝5敗に対し、今季は14勝2敗と大きく改善した。昨季5度だった1―0は8度マークした。FWチアゴ・サンタナらを引き抜かれて迎えた今季始動後、MF乾は「今年は大量点は難しいかもしれない。それでも勝ち点を積んでいくことが大事」と話していたが年間を通じて我慢強さ、しぶとさが浸透したと言える。 2位・横浜FCとの勝ち点差は6。圧倒したようにも映るが、横浜FC、3位・長崎、4位・山形の3クラブ相手に1勝もできなかったことも事実だ。3日のいわき戦で決めたプロ初ゴールが優勝決定弾となったDF蓮川も「J2ということを実感してもっと成長しないといけない」と浮かれた様子は見せなかった。今季はあくまで“スタートライン”に戻っただけ。慢心せず個でも組織でも一段とレベルアップしなければ、J1での明るい未来は描けない。(武藤 瑞基)
報知新聞社