<中村悠一>「るろうに剣心」 比古清十郎を演じる面白さ 「剣心」名付けシーンの奥深さ
中でも印象的だったのは、比古が、幼い頃「心太」という名前だった剣心を「剣心」と名付け、弟子にするシーンだという。心太は、親を病気で亡くし、人買いに連れられていく途中で野盗に襲われ、比古に助けられた。数日後、比古は、剣心が人買い、野盗を含めた全員分の墓を作っている姿を目にし、弟子にすることを決める。
「原作を読んでいる時は、どうして突然名付けたんだろう?と思っていたんです。比古は、『心太』は優しすぎて剣客にはそぐわないから『剣心』と名乗れと言う。僕は、独りになった子に同情して、哀れんで、でも意志は強そうだから弟子にしてみようと決めたのかな?くらいに思っていたのですが、その前のモノローグで比古は、自分の無力さを感じているんです」
比古は、モノローグで「飛天御剣流の理に従い 刀を振るっても結局誰一人救えなかった事など今まで何度もあった…」と語っている。
「飛天御剣流は世を変えるものだと思っていたけど、何も変えられなくて、人が死んでいくと。その後、比古は優しい少年と会ったわけです。その時、これからの時代、世の中を変えるのは、自分では無理だったから、真逆のものに託そうと思ったんだなと感じました。しかも、飛天御剣流は一子相伝で、奥義を継いだ段階で自分が死ぬことが分かっていて、その覚悟の上で弟子を取った。比古は、和月先生も最強と言っているキャラですが、世の中の流れにあらがえないことが分かって、剣じゃない部分で負けたのかなと。そう思うと、あの過去のシーンはすごく面白い、深いシーンだなと感じました」
中村さんが語るように剣心の師である比古清十郎には、一言では言い表せないさまざまな魅力がある。現在放送中のテレビアニメ「るろうに剣心」で比古清十郎がどのように表現されるのか、見逃せない。