<中村悠一>「るろうに剣心」 比古清十郎を演じる面白さ 「剣心」名付けシーンの奥深さ
斉藤壮馬さん演じる剣心と比古の会話も「これも難しくて、会話しているようでしていないんです」と説明する。
「一方的に話しかけている。要は目的が違うんです。剣心は、師匠と会話するのが目的じゃないので、話しかけてくれないんです。彼はこの後に待っている戦いのために、最後の修行をしてほしいというつもりで来ていて、比古は今さら現れた弟子が勝手なことを言ってることに対して怒りや憤りを持っているので、会話が噛み合っていない」
ただ、そうした序盤の会話を経て、「だんだん比古が『今お前に足りないものは何だ』『お前は今どうしたいんだ?』と剣心に気付かせていく」師弟のやり取りへつながっていくと感じたという。
「それは比古が狙ったことなのかどうか分からないですけど、剣心が自分の中で気付きを得ていく。しかも、最後の奥義に必要なことは、命を懸けることではなくて、『生きるため』という気持ちなんだということを、実践の中で自分で気付かなければいけないと。だから、ただ投げ合っているようなやり取りの中で、比古としてはちょっとずつ誘導というか、聞き出しているわけですよね。言葉じゃなくて、態度や剣を交えた中で、剣心の考えを知って、次のアプローチをかけるという。それを会話じゃなくて、行動の中でやっているのかなという感じがするので、僕がどうこうすることよりは、演出や画(え)で見せたり、ドラマの中で、視聴者の方が何か気付きを得たりする部分が大きいんじゃないかなとは思います」
◇演じる中で気付いた比古清十郎の魅力 なぜ剣心と名付けたのか
比古清十郎について、登場シーンが限られるだけに「キャラクターをどう捉えるかは人それぞれだろうなという感じはしてしまいます」とした上で、原作を読んでいた時には気付かなかった一面に気付き、演じる面白さを感じたという。
「シナリオを読んで、アフレコをして、それをまた振り返ってと、一つ一つのステップごとに気付くことがあって、それは面白い部分でした。後からキャラクターの行動や言葉に『あ、こういう意味があったのかもな』と感じる部分が多かったです」