数字で証明、女性登用は株価を上げる! 最新の調査研究から見えた多様性ある組織の経済合理性
さらに、日本におけるジェンダード・イノベーションは、消費者の「お困りごと」から生まれてきたケースが多く、組織の変革もそれに伴ってのパターンが多いという。 「たとえば今では一般的になったメンズコスメ市場で言うと、ある製薬会社が男性の肌トラブルに対してスキンケア商品を開発したのは、『ドラッグストアでスキンケアの売り場に行きづらい』『男性用のものがないから仕方なく女性が使っている商品を買っている』という男性の悩みに着目したことから。こういった命や生活に直結する商品・サービスを中心に取り組みが進んできて、それ自体は素晴らしいことですが、『これは男性が使うもの』『女性が使うもの』と無意識のうちに刷り込まれている消費者が自覚していない潜在的なニーズがもっとあると思っています」 消費者が自覚していないニーズを掘り起こすことが今後の鍵であり、それが組織の新陳代謝を加速させ、経済的メリットにつながる。 「企業向けワークショップも開催させていただいていますが、性差への多様な視点を持つために、参加してくださる方々には、『自分とは逆の生物学的な性差と社会的な性差を考慮したときに、どんなニーズがあるか』を考えてもらっています」
取材・文:小山内彩希 撮影:安永明日香 編集:大川卓也