数字で証明、女性登用は株価を上げる! 最新の調査研究から見えた多様性ある組織の経済合理性
なぜ日本で女性の登用が進まないのか
近年は、女性が活躍することによる経済の活性化や労働者・消費者としての女性のパワーへの注目を指す「ウーマノミクス」という言葉も聞かれるようになった。 ゴールドマン・サックス社がまとめた『ウーマノミクス5.0』では、「女性のフルタイム勤務が増え、男女の労働時間格差が(先進38カ国からなる)OECD平均まで改善すれば、日本のGDPが最大15%向上する」と試算されており、世界銀行も「ジェンダー平等の実現はそれ自体重要であるが、経済合理性があり、人々の生活を改善するものである」と2011年時点で結論づけている。 政府は、東京証券取引所プライム上場企業の役員について2030年までに女性比率を30%以上とする目標を掲げている。 だが厚生労働省の2022年度「雇用均等基本調査」によると、企業の管理職に占める女性の割合は12.7%、役員の割合は21.1%。役員については先進7カ国(G7)が30%、40%を超える中で最下位である。 経済協力開発機構(OECD)からは「人材の致命的な配分ミスがある」と2019年から指摘されてもいる。 意思決定者が男性に偏り続けている原因を、柳さんはふたつ挙げた。ひとつは、JTC(ジャパニーズ・トラディショナル・カンパニー、伝統的な日本企業を指す)的な組織運営だ。 「女性の登用の進まなさの原因のひとつは、大企業を中心とした『男性は総合職、女性は一般職で補助的な仕事に集中する』といった日本の伝統的なモデルに、『年功序列・終身雇用』という伝統的な企業文化が合わさってのことと見ています。硬直的な企業文化・運営が最近、ジャパニーズ・トラディショナル・カンパニーと言われていますが、まさにそれによるものではないかと。1986年に男女雇用機会均等法が施行されても女性管理職や役員が何十年と増えなかったのは、年功序列・終身雇用という壁があり、要職につくには一定の年数が必要だったからでは」