数字で証明、女性登用は株価を上げる! 最新の調査研究から見えた多様性ある組織の経済合理性
TOPIX2,000社で柳モデルを回した結果、95%の信頼度で企業価値を高めると証明
これまで、KDDI、NEC、日清食品ホールディングス、JR東日本、アサヒグループホールディングス、コマツなど数十社が柳モデルを採択し、男性中心だった意思決定の場に女性を増やせば長期的に企業価値が高まるという関係性を出している。 2024年夏には、日興アセットマネジメントと共同で調査した「TOPIXへの柳モデル適用による企業価値向上の検証結果」が論文で発表される。 それによると、TOPIX(東証株価指数)が対象とする約2,000社・18年分の指標に柳モデルを適用したところ、「女性管理職・執行役員・取締役比率」が企業価値(PBR)と正の相関があることが示唆されたそうだ。95%の信頼度で、統計学的に有意な結果が得られているという。 「これが大きいのは、『女性を登用することが企業価値を高めると証明されている』という前提に立って、会社の中でも外でも冷静な議論をすることができるようになることです。ジェンダー平等、ダイバーシティ推進が価値を生むことを信じることができれば、もっとトータルパッケージでの組織改革が加速するはず。柳モデルは、その流れを数字的根拠で後押ししたい」 柳さんの研究の中で興味深いのは、女性の管理職を増やせばPBRは高まる一方で、女性の従業員だけ、あるいは、女性役員だけを増やしても、さほどPBRを高めないという結果が出ていることだ。「女性管理職と女性役員を"セット"で増やすことで、一層PBRが上がる」という。 「研究から言えることがふたつあります。ひとつは、女性社員を増やすと企業価値は高まりますが、管理職や役員などで女性を増やしたほうが、より企業価値が高まるということです。もうひとつは、ただ女性の数を増やせばいいという『形式主義』ではダメだということ。研修制度や育児支援の充実、テレワークも含めた働き方の柔軟さを持つことなど、育成過程を見直してトータルパッケージで会社を改革しなければ、女性の管理職も執行役員も取締役も増えません」