Yahoo!ニュース

IDでもっと便利に新規取得

ログイン

待てない診療、オンラインなら 緊急緩和で受けやすく

配信

NIKKEI STYLE

スマートフォンやパソコンの画面越しに医師の診察を受けるオンライン診療が広がっている。新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐ観点から、期間限定でこれまでの規制が大幅に緩和されたからだ。外出自粛が続く中、診療機会を増やし、治療を途切れさせない手段になると期待される。対面診療と適切に組み合わせて使えば、医師と患者の双方にメリットがありそうだ。 「現在、患者が来院にとても慎重になっている。オンラインで受診できて助かるという声が多い」。東京都内で2カ所の内科・アレルギー科の診療所を経営する医療法人社団法山会の山下巌理事長はこう話す。2016年に始めたオンライン診療が思わぬ形で生きた格好だ。 両院でオンライン診療を利用する患者は20人ほどだったが、3月以降は数倍に増えた。新型コロナの感染拡大で医療機関に足を運びにくい状況が生まれ、オンラインに切り替える患者が相次いでいるためだ。 高血圧などの慢性疾患では定期的な受診や服薬が求められる。だが、「忙しさなどから通院が途切れる患者は以前から少なくない」と山下氏は話す。

■患者満足度高く

そこで治療継続に生かしてきたのがオンライン診療だ。対面診療の間隔を3カ月程度に伸ばし、その間の2カ月はオンラインで受診してもらう。病状が安定していれば「診察の目的が触診などを伴わない相談や生活指導であることも多く、オンラインで十分対応できる」(山下氏)。 オンライン診療にはマイシン(東京・千代田)のシステム「クロン」を使う。診察時はタブレット端末を見ながら画面越しに患者と会話を交わす形だ。その間、パソコンの画面ではカルテの情報などを確認する。 患者側の満足度も高いという。都内に住む50代男性は「診察室よりも自宅の方がリラックスでき、聞きたいことを整理して聞ける」と話す。5年前にがんの手術を受けてから、インフルエンザが流行する冬場などは医療機関に足を運びたくないという。「オンライン診療のありがたみは新型コロナ以前から実感してきた」。医療機関の予約からオンラインでの受診、診察費の決済までをアプリで完結できる。 オンライン診療に初めて診療報酬が設定され、医療の表舞台に現れたのは18年4月だ。保険診療として実施できるようになったことで関心を持つ医療関係者は増えた。 ただし事前に診療計画を作成することや3カ月以上対面診療を続けていることなど、制約が多い。保険の対象となる疾患は糖尿病など一部の慢性疾患に限られ、その点数も対面診療に比べて半分以下の水準だ。 そもそも厚生労働省や医師会などは、オンライン診療で医療の質を担保できるかどうかのエビデンスが不足しているという認識で、運用に慎重だった。結果として、オンライン診療を保険診療として実施する医療機関はこれまで少なかった。 新型コロナの感染拡大を受け、厚生労働省は2月以降にオンライン診療の規制を大幅に緩和した。具体的には、疾患の種類によらず医師の判断でオンライン診療を実施できるようにした。事前の診療計画作成は不要で初診にも使える。オンライン診療に対応した初診料や再診料も設定され、医療機関にとっては収益面のマイナスも抑えられる。 これを受けオンライン診療を導入する医療機関は急増している。「導入に関する1日当たりの問い合わせ件数が従来の15倍に増えた」(マイシン)と話す。 今回、規制緩和されたオンライン診療の枠組みの一つとして、患者が薬局に足を運ばずに処方薬を受け取れるようにもなった。医療機関が処方箋をFAXで調剤薬局に送信。薬局が薬を患者宅に送り、薬剤師がオンラインで服薬を指導することが認められた。

【関連記事】