高市氏の「電波停止」発言に対する抗議会見(全文1)会見の趣旨ほか
政治的公平性は権力側が判断することではない(岸井氏)
岸井:はい、岸井です。よろしくお願いいたします。アピール文にはほとんど過不足なく盛られてると私は思いますので、多くを語ることはありませんけれども、今、金平さんが言われた自由度について、61まで、OECDの先進国の中ではもう断トツに低い地位が落ちてるんですね。それはもう最近の『エコノミスト』も、それからいろんなね、『ガーディアン』でもそうでしたけど、とにかく今の日本の報道に関する懸念というのはものすごく海外で、むしろ強くなってるんですね。 だから特定秘密保護法もそうですけど、最近そういう評価をどんどん落としてるのがやっぱり、どうも日本のメディアは自粛が過ぎるんじゃないかと。何を、何に遠慮してそんなことやってんの、っていう意識が非常に海外メディアに不信感が広がってるっていうことを感じます。いろんな形で取材も受けますけども、そこはもう本当に考えなきゃいけないなと思いますね。 それから私も高市発言を聞いたときはもう、まず第一の印象は驚くだけじゃなくて、ちょっとあきれ果てましたね。憲法の精神、あるいは放送法の精神とか目的っていうものを知らないで、もしああいう発言をしてるとすればもう大臣失格、資格ありません。それが第一ですね。 もし仮に知ってて、曲解をしてる、いうことであれば意図的にある一歩を進めて、言論統制に進みたいという意図があると思われても仕方がありません。それについてきちっとしなきゃいけないっていうことですよね、だから先ほどから海外から非常に日本のメディアが不信感を持たれるようなことになってる中で、ああいう発言が出てるっていうことはものすごく重要なことだと思うんですよね。これを黙って見過ごすわけにはいかないわけですね。だから高市発言があった日も、私も番組で取り上げて、とにかくあり得ないことだし、絶対にあってはならないことだということを申し上げました。 それからあえて、これは皆さん報道に携わる方たちですから、お釈迦様に説法になりますけど、私自身、新聞社の論説委員長をやり主筆もやりました。だからそういう意味では報道、そして政治の公平性と、それから使命、メディアの使命、ジャーナリズムの役割っていうものについて、ずっとそれなりに考えてきたつもりであります。 それ、政治的公平性っていうのは、権力側が判断することではないんです。これはわれわれメディアが一番気を付けなきゃいけないことです。こういう言い方すると、よく政治家との大討論になることがありますけども、われわれは先輩から常に、政治、政治家、官僚、これは必ず大事なことはしゃべらないか隠す。場合によってはうそをつく。このことが前提で取材しない限り、本当の報道っていうのはできないんだということですよね。それはもうずっと感じてきました。それは暴くっていうだけじゃなくて、本当のことを知らせることが、国民の知る権利にきちっとメディアが応えるということですからね。 だからそれを常に公平性という中で考える。逆に言うと、政府権力側の言うことだけを流してれば、それは本当に公平性を欠く、国民の知る権利を阻害するということになる、ということだと思うんですね。そのことをきちっともう1回、胸に刻んでやらなきゃいけない。そのぐらい今は危機的状況に入ってきたなと。言いたいこといろいろありますけどね、取りあえずはまず感じたことを申し上げたということです。