モネが愛した庭が高知県にあった…!北川村「モネの庭」の秘密と楽しみ方、家で育てられるおすすめ植物も紹介
水面に浮かぶバラのアーチ
「水の庭」では、睡蓮が咲く池にバラのアーチが架けられています。バラが咲く5月半ばには、睡蓮とバラのアーチが水面に映り込む、この時期にしか見られない景色が広がります。 「モネは睡蓮の花だけでなく、年を重ねるごとに水面の表現をしたり、太鼓橋を描いたり、池全体の風景を描くようになりました。 この雰囲気を出すには、手入れが重要。庭師がいなければ、この世界観はつくれなかったと思います。 モネ自身が『私の最高傑作は庭』と答えるエピソードがあったように、庭全体が芸術作品なのでしょうね」
モネを知るきっかけに
新しく庭園管理責任者に就任した町田さん。2016年から8年間モネの創造と向き合ってきた町田さんにとって「モネの庭」とは。 「興味深い題材だなと、思いながらこの庭を管理しています。ここまでテーマをもったフラワーガーデンは、他にありません。 日本が好きだった1人の画家がつくり上げ、日本のことをよく考えながら庭づくりをして絵を描いていた。この環境で庭づくりをするおもしろさを感じています。 北川村「モネの庭」マルモッタンでモネが見た景色を堪能し、モネについて知るきっかけとなる場所にしていただければ、と思います。 私がいちばん好きな季節は秋。冬の間に植えた秋の植物がこの時期に咲くように管理しているので『やっと咲いたな』と実感が湧きます。 秋のベストシーズンは、10月下旬から11月末。11月中旬になると気温が下がり、冷たい空気感の中で、夏とはまた違った色の鮮やかさを見ることができます」
家の庭やベランダで育てられる!「モネの庭」の植物
最後に、モネが描いた花が自宅で手軽に楽しめる、町田さんおすすめの植物を紹介します。 ①睡蓮 モネの代表作である睡蓮。実は初心者でも育てやすい植物です。水やりの量やタイミングを誤ってしまい、植物を枯らしてしまった…という経験がある方もいるでしょう。睡蓮は、水を溜めた睡蓮鉢に入れて管理するため、水やりで失敗してしまう恐れもありません。 「冬は休眠し、暖かくなってきたら活動をはじめるという性質さえ知っておけば、育てやすい植物の一つです。夏場は暑くなりますが、熱帯性睡蓮は水温が上がるとむしろ花が咲きやすくなります。寒さに弱いので、霜が当たらないように注意しましょう」 ②アガパンサス 爽やかな花が咲くアガパンサス。今回の展覧会にも出品されています。高さ1m以上になるものから、小鉢でも育てられる小型種など、花の形も品種によってさまざま。植えっぱなしの状態で控えめな水やりでも花が咲くので、初心者の方にも育てやすい花と言えるでしょう。 「アガパンサスの開花時期は、6~7月。お庭がある人は、一角に植えると季節の花として楽しめます」 ③バラ「クロード・モネ」 バラといえばきれいに育てるのが難しいイメージがありますが、比較的に耐病性に優れているため育てやすい品種です。クリーム色とピンクが混ざりあったような色味で、絵画のように美しい見た目をしています。 「鉢植えがおすすめで、花が咲き終わったときにしっかりと切り戻しをすれば、どんどん花が咲き続けます。つるバラをきれいに見せるのは難易度が上がりますが、立ち上がりのバラは初心者の方でもお手入れしやすいと思います」 ④リコリス/ネリネ リコリスは、彼岸花の一種。葉や枝がなく、花と茎だけで咲く姿が特徴的です。また、リコリスに形が似たネリネは、リコリスよりもやや小ぶり。リコリスは9~10月、ネリネは11月に花が咲きます。 「彼岸花といえば真っ赤なイメージですが、リコリスは、ピンクやサーモン、白など、さまざまな色があります。球根類は、植物のなかでも管理しやすいでしょう」
【番外編】寄せ植えでモネの庭を再現する
花の形や色を自由に組み合わせて、モネの庭の風景を切り取ったような寄せ植えを楽しむことができます。 背丈が高いものから低いものを同じ鉢に収めたり、色を統一して植えたり、自由に雰囲気が作れるのも寄せ植えのよいところ。 「何かに固執せず自分が『試してみたいな』というやり方は、モネがやっていたことでもあります。庭や華やかにしたいところに、アートのように飾ってみてはいかがでしょうか」 【DATA】 北川村 モネの庭 マルモッタン 住所:高知県安芸郡北川村野友甲1100 開館時間:9:00~17:00(最終入園16時30分) 休館日:6月~10月の第1水曜、12月1日~2月末日