モネが愛した庭が高知県にあった…!北川村「モネの庭」の秘密と楽しみ方、家で育てられるおすすめ植物も紹介
ナチュラルさを生むために欠かせないこと
日本の浮世絵や庭園を愛したモネ。日本庭園の庭師である川上さんが責任者として庭園づくりの中心となったことで、独特な世界観にあふれたモネの庭がつくりあげられました。 「川上から『手入れをしていないような手入れをしなさい』と教えられました。自然な雰囲気で花が咲いている、という環境を意図的につくる。ナチュラルさを創るのは微妙な線引きで、植物が荒れてしまうギリギリのところを攻めています。 開園したばかりの頃は日本でモネの庭のなじみが薄く、『ごちゃごちゃした庭』と評価されることもありました。 色彩が整ったイングリッシュガーデンとは異なり、モネの絵から見てとれるように花の色が点在しているだからだと思います。 川上は、水面に映る花の色味や色の重なりを考えながら庭づくりをするモネの感性に寄り添い、今の形に仕上げて行きました。私たちはこのベースを変えずに、変化する植物や環境に適応しながら庭づくりに励んでいます。今では『自然な雰囲気がある』という声をいただけるようになりました」(町田さん)
庭づくりのお手本はモネが描いた作品たち
モネが見た景色を表現するために、ジヴェルニーの庭だけでなく、モネが描いた絵画を参考にしています。 モネが一筆一筆を重ねて全体像を描くように、ひとつひとつの植物が風景をつくり出しています。 「インターネット上でも絵を見ることはできますが、本物を見て得られる感覚は格別です。フランスの方から『本物を見なさい』とよく言われますね。 モネはパレットで絵を混ぜることなく、そのままの色を点在させながらキャンバスに乗せて色と重ねている。引いて見ると調和がとれていますが、近くに寄ったら、実はピンポイントで色が入っていたりする。絵をよく見ると、ブルーや藤色のなかにちらりと黄色が入っているんです。そういう指し色を花壇のなかにも取り入れています」(町田さん)
モネが描いた睡蓮が咲く「水の庭」
10月5月から、国立西洋博物館で開催される『モネ 睡蓮のとき』。〈睡蓮〉連作を中心に、ジヴェルニーの庭で過ごしたモネ晩年の芸術作品が展示されます。 北川村「モネの庭」マルモッタンの「水の庭」というエリアでは、モネが描いた絵画から飛び出したような風景が広がります。 「周りの風景が映り込む、反射した水面が注目ポイント。 できる限り周囲の景色が映りこむように、庭師たちは葉を取り除き、水鏡をつくりにいきます。 時間帯によって光の入り方が変わるので、それぞれの時間帯ごとに醸す空気感を水の庭では大切にしています。日中も美しいのですが、朝日や夕日といった陽が傾く時間帯は、雰囲気が特別です。 睡蓮の花が最も多く咲く時期は、7月下旬~9月上旬。温帯性睡蓮は10月上旬、熱帯性睡蓮は9月下旬まで見ることができます」(町田さん)