“赤字ローカル線”存続の危機 鉄道を生かした街づくりは可能か 車窓からの景色は抜群も利用者は減少【鹿児島発】
6年前に廃線した沿線 過疎化進行か
神田教授のいう「鉄道が存在する意味」について探るべく、広島県に向かった。 広島県北部にある三次市。人口約5万人で、島根県との県境にあり2018年3月まで、JR三江線が走っていた。三次駅から島根県の江津駅まで108kmを結んでいたが、利用客の減少などで廃線になった。 三次市では、廃線後の市民の足を確保しようと、代替バスを走らせている。 三次市まちづくり交通課の呑谷巧課長は「バスは家の近くに来るので助かる。バス停でなくても、手を挙げたら乗れる、フリー乗降ができる地域もあり、利用しやすくなったという声がある」と胸を張る。 沿線の住民に聞くと「車社会だから困ったことはほぼない」「バスがいつまで続くのか不安もある。年齢的に、免許証返納したら買い物などできるのか不安」と、反応は様々だ。 また、三江線の島根県側にある町では、NPO法人が自家用車を使った送迎サービスを行っている。利用者からは便利だという声も聞かれるが、「遠方に行くときには対応できない」といった課題は残されているという。 三江線沿線をたどると、駅や線路が廃線当時の状態で残されている。住民は「廃止になって過疎化が進んだ。廃屋が最近、特に多い」と、寂しそうだ。 また、「川沿いの風景とともに楽しめる線として価値が有るな、ということを最近になってつくづく思う。今となっては遅いのだが」と、送迎サービスのスタッフは唇をかんだ。
鉄道を生かした街づくり 若者が議論
2024年10月、JR指宿枕崎線沿線地域の高校生が集まり、ワークショップが開かれた。 「JR指宿枕崎線のいいところは、海がきれいなこと」「猫カフェや猫駅長など、動物を使った集客方法を使ってはどうか」「景色が良いところはスピードを落として運行するとどうか」など、鉄道を生かした街づくりをどうすべきか、若者の視点で議論が交わされた。 利用者が減少し続けるローカル鉄道。すでに、JR三江線が廃止になった沿線では、「なくしちゃいけない、なくすなという以前に、あなたたち乗りなさいよ」「今、いろんな廃線跡の活用がされているが、そういうのを見ていると、どのタイミングで自分たちがまず気づけるかというのが、大事だと思う。自分たちにとって、どれだけ生活に必要なものなのかということを、普段から話し合ったり、気づけることが必要じゃないかと思う」といった声も聞かれた。 鉄道に存在する意味を見いだし、さらに、鉄道を生かした地域作りをどうするか。 ヒントは、廃線を経験し改めて存在の意味について向き合った人たちの言葉の中にあるのではないだろうか。 (鹿児島テレビ)
鹿児島テレビ