釜山国際映画祭に見た、映画祭が「脱映画」を図る未来。現地では「動画配信作品」が勢いを増していた。
映画および映像コンテンツビジネスのさらなる発展に向けて、よりアクセルを踏み込む積極的な姿勢を肌で感じた。 毎年参加している映像産業振興機構(VIPO)の統括部長兼グローバル事業推進部長・森下美香氏は、今年のマーケットについて「来場者が圧倒的に増えている」とし、アジアにおける映像ビジネスがより拡大しつつあることに注目する。 そして、日本の若い世代のプロデューサーや監督たちが積極的にネットワークを広げようと英語でミーティングに参加していることを挙げ、「若い世代の映画人のマインドがこれまでとは変わってきている」と時代の流れを指摘した。
■映画祭で大きな存在感を放つNetflix そうした中で、本映画祭の大きな流れとして注目したいのが、アジアのテレビやOTTのドラマアワードとなる『アジアコンテンツアワード&グローバルOTTアワード 2024』だ。 冒頭でも述べた通り、OTTとはネットを介した動画配信のこと。本アワードは6回目を迎え、日本からは西島秀俊も審査員として参加した。日本作品は5本、日本人俳優・スタッフが5人ノミネート。仁村紗和や、チェ・ジョンヒョプ、三吉彩花らが、それぞれ受賞した。
また、日本以外にも、アジアの人気ドラマのスターたちが数多く出席。その華やかさは映画祭イベントをしのぐほどになっていた。 映画祭全体をみても、OTTの1つであるNetflix作品が大きな存在感を放っていた。 映画祭会期前半は、Netflixロゴの入った上着を着た多くの同社スタッフが会場のあちこちで忙しく動き回っている姿が印象に残ったほど。まさにNetflixが映画祭を席巻していたのだ。 オープニング作品はNetflix作品の『戦と乱』だったほか、映画祭イベントとして「Netflix クリエイティブ・アジア・フォーラム」も開催された。Netflixオリジナル作品では、日本からは『さよならのつづき』の有村架純、坂口健太郎、黒崎博監督が参加。現地のファンとの交流を持ちながら、映画祭を盛り上げた。