彼女がくれた「高級ブランド」のバッグ、恋が終わると「返して」と詰め寄られた!
交際中の彼女に別れを切り出したら、「誕生日にあげたプレゼントを返せ」と言われたーー。弁護士ドットコムにこのような相談が寄せられています。 【画像】「2人の縁が切れ、私と結ばれますように」 相談者が彼女からもらった誕生日プレゼントは、高級ブランドのバッグでした。「以前からほしいと思っていたものでした。彼女のことが大好きでしたし、とても嬉しかったです」と相談者はいいます。 相談者も彼女を喜ばせたいと思い、誕生日にはほしいものを買ってあげようと考えていました。ところが、彼女の誕生日を迎える前に大ゲンカをしてしまい、別れ話に。彼女は「こっちは高いプレゼントあげたのに!返して」と憤慨しているそうです。 「たしかに、自分だけ誕生日プレゼントをもらってしまいました。ただ、ケンカが原因で彼女への気持ちは冷めてしまい、いまさら誕生日に何かあげようとは思いません。バッグは彼女が好意で買ってくれたものだと思っています」と相談者は困り果てています。 相談者はプレゼントを返さなければならないのでしょうか。東山俊弁護士の解説をお届けします。 ●プレゼントを返す必要はない ーー交際相手と別れる際に「プレゼントを返して」と言われた場合、返さなければならないのでしょうか。 返す必要はありません。そもそも、交際を終わらせる際に、「それまでに贈ったプレゼントを返せ」と交際相手に請求することはできません。 プレゼントを贈ることは、法的には「贈与契約」という契約になります。 一方が「プレゼントをあげます」という意思を表示し、それに対してもう一方が「はい、いただきます」という意思を示せば、双方の意思が合致しているとして、贈与契約が成立します。 ーー契約書を作っていなかったとしても、贈与契約が成立するのですか。 はい、契約は口約束でも成立します。 そして、口約束をしただけの段階では取り消しができますが、書類を作成したり、物を渡したりした後は取り消しができません。 そのため、贈与契約が成立してプレゼントを一度相手に渡したら、後から「やっぱり返して」と取り返すことはできません。 プレゼントを返す必要がないのですから、プレゼントの代金も返す必要がないということになります。 ●別れの原因がプレゼントを「もらった側」にあるとしたら? ーーもし、プレゼントをもらった側に別れる原因があった場合はどうでしょう。 法的には、「別れる原因がどちらにあるか」ということと「贈与契約を取り消せるか否か」は関係がありません。 したがって、プレゼントをもらった側に別れる原因があっても、プレゼントを返したり、代金を返済する必要はありません。もちろん、損害賠償請求に応じる義務もありません。 ただし、婚約破棄の場合は結論が変わる場合があります。 たとえば、女性側の浮気で婚約を破棄する場合にはプレゼントや旅行代金を返す必要はありませんが、男性から贈られた結納金や婚約指輪は返さなければなりません。 なぜなら、結納金や婚約指輪は結婚を成立させることを条件として贈与されたもので、結婚が実現しなければ受け取る理由がなくなるからです。結納返しや婚約指輪のお返しも同様です。 ーー婚約を破棄された側にとっては、婚約指輪を返されてもあまり意味がないと感じることもあるかもしれませんね。 そうですね。ですので、婚約指輪の代金の返還を請求するケースも多くみられます。 なお、結納や婚約指輪を贈った男性側に婚約破棄の責任がある場合、それらを贈られた女性には結婚が成立しなかったことについての責任がありません。したがって、結納金や婚約指輪を返す必要はありません。 (弁護士ドットコムライフ) 【取材協力弁護士】 東山 俊(ひがしやま・しゅん)弁護士 東山法律事務所所長。大阪弁護士会所属。家事事件はもちろん、一般民事事件や刑事事件も幅広く取り扱っている。 事務所名:東山法律事務所 事務所URL:http://www.higashiyama-law.com/
弁護士ドットコムニュース編集部