スーパー初 商品棚で新コミュニケーション カメラが属性判断し属性ごとに情報提供 価格訴求のエンドの新しいカタチ イオンリテール
イオンリテールは、コロナ禍で試飲試食などの店頭でのコミュニケーション活動が思うようにできないことを問題視し、ニューノーマルにおける顧客体験価値向上を目指してリアルとデジタルを融合した実証実験を「イオンスタイル有明ガーデン」(東京都江東区)で開始した。 6日取材に応じた山本実執行役員システム企画本部長は、実証実験の背景について「本来の食品小売りの姿として、やはりお客様に接客して試飲試食や料理提案しながら対話の中で売っていくものだと思っている。このことが半年以上やれていないのは将来のリスクだと考えている」と説明する。
実証実験は主に3つあり、その1つが来店客との新たなタッチポイントづくりのためのデジタル販促となる。 7本あるバックエンド(商品棚)にはデジタルサイネージとビデオレールを設置。ビデオレールは小売業では国内初の試みとなり、通常プライスカードが配置されるスペースに設置され、陳列商品のプロモーション動画を流している。 ビデオレールの特徴の1つはプライスも一括表示されることでオペレーションの改善につながる点。「1つ1つ個別につける必要がなくなり一括表示でき、ミスも防止できる」という。 属性ごとにプロモーションできる点も特徴。 上段にある小型カメラが棚の前に立つ来店客の属性を判断し、ビデオレールに表示される2次元バーコードを通じてそれぞれの属性にあったプロモーションの提供が可能となる。 「バックエンドは価格訴求の場所になっているが、お客様が一番求めているものとリンクさせることで顧客満足度の向上を実現させていく。メーカー様のご意見も伺いながら改良し、将来的にはワンtoワンのコミュニケーションができるところまで近づけたい」と意欲をのぞかせる。
デジタルを通じた双方向のコミュニケーションにも取り組む。鮮魚・精肉・青果の各コーナーに大きめのモニターを設置し、マグロ解体ショーなどの加工・調理などを定期的にライブ配信していく。 「3カ所同時にライブ中継することで、なるべく分散していただく。1万人にスマホでも視聴できるようにした。スキルのあるスタッフによる料理提案も行い、双方向のコミュニケーションを図っていく」と述べる。