Yahoo!ニュース

IDでもっと便利に新規取得

ログイン

キノコ遺伝子から発光性植物を開発、数年内の市場投入目指す

配信

The Guardian

【記者:Nicola Davis】  不気味な緑の光を放つ草は、まるで昔懐かしいコンピューター・ゲームに出てくる木の葉のようだ。ロシアのスタートアップ企業「プランタ」の研究室で作られた発光性の植物のことだ。  英インペリアル・カレッジ・ロンドンの研究者で同社の最高経営責任者(CEO)であるカレン・サルキシャン博士率いる開発チームは、光を放つこの植物が室内インテリアに個性的な趣を与えるにとどまらず、植物内部の活動について探求する新たな道を開いてくれる可能性があると話す。  サルキシャン博士は次のように述べている。「この技術は将来的に、植物の一生を通じてその内部にあるさまざまなホルモンが各細胞組織においてどう活動するかを、非侵襲的な方法で視覚化するために用いることができる。また干ばつや草食動物に傷つけられた場合など、さまざまなストレスや環境の変化に対する植物の反応を観察するためにも活用できる」  ホタルからナラタケに至るまで、光を発することができる動物や微生物、キノコ類は多い。生物発光として知られる現象だ。これは有機体の中にあるルシフェリンと呼ばれる化学物質に酵素が作用し、そのエネルギーが光という形で放出されることで起きる。とはいえ植物が突然、生物発光を始めることはない。  科学者が光る植物を作ったのは今回が初めてではない。輝く植物に関してはこれまでにも、光る街路樹による街灯から自己発光のクリスマスツリーに至るまで、あらゆるアイデアが出されている。  過去のアプローチでは、ナノ粒子を使って生物発光に必要なルシフェリンと酵素を植物内部へ送り込んだり、植物を生物発光させるために細菌遺伝子を取り入れたりした例がある。  しかし、こうした取り組みには欠点もある。微小な粒子でルシフェリンを運ぶにはコストがかかる上、植物は自力でこれを維持できない。一方、細菌の生物発光遺伝子を取り込む方法は、手順が面倒な割に発光そのものが微弱。さらに後者に関しては、植物にとって有害でもあるようだとサルキシャン博士はいう。  今回の新たな研究はこれまでとは異なる手法を用い、最近発見された菌類の発光プロセスを活用している。植物の中に存在する化学物質「コーヒー酸」から生成されたルシフェリンを使う方法であることが重要だと研究チームは語る。  サルキシャン博士とロシアやオーストリアに拠点を置く同僚の研究者らは英科学誌ネイチャー・バイオテクノロジーに発表した論文の中で、「Neonothopanus nambi」と呼ばれる生物発光性ツキヨタケの一種から採取した4個の遺伝子を、どのようにタバコのDNAに挿入したかを説明している。コーヒー酸は酵素の働きによって一連の段階を経た後、エネルギーを光として放出するルシフェリンに変化する。この4個の遺伝子はその酵素に関連したものだという。ルシフェリンは最終的に再びコーヒー酸に戻る。  植物はその結果、肉眼で分かるほどの明るさで緑色に輝く。サルキシャン博士は「暗闇でも、太陽光の中でも輝き」、光量は細菌遺伝子を使った場合の10倍は明るいようだと述べた。 「私たちはこれを数年のうちに市販化したいと強く思っている。光量をもう少し増やし、この新技術を使って観葉植物を作り、安全規定をすべてクリアしたらすぐにでもそうしたい」とサルキシャン博士は期待を込めて語った。 【翻訳編集】AFPBB News 「ガーディアン」とは: 1821年創刊。デーリー・テレグラフ、タイムズなどと並ぶ英国を代表する高級朝刊紙。2014年ピュリツァー賞の公益部門金賞を受賞。

【関連記事】