「石破氏は論理的には小泉氏や安倍氏の後継者」トランプ氏元側近のジョン・ボルトン氏が語る日米関係
だが、NATOというモデルに飛びつく必要はない。アジア(の安保協力)がそうした形(の政治的軍事同盟)に発展することはありえないかもしれない。 だからといって、安保協力は、日米同盟や米韓同盟などの2国間同盟にとどまらない。もっと多くの方法がある。例えば、日本と韓国、アメリカの3カ国が合意した共同訓練などの実施が好例だ。私たちはこの合意を礎に3カ国間の関係を発展させることができる。 合意の実現に当たっては、韓国の尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領と岸田首相が大いなる政治的勇気を奮う必要があったが、3カ国にとってメリットは計り知れないほど大きい。申し分のない第一歩を踏み出すことができた。
とはいえ、まだすべきことは多い。中国の脅威が今後短期間で、さらに高まる見通しだからだ。中国は南シナ海の海域(や島々など)の領有権を主張しており、その範囲は南シナ海の8割超に及ぶ。おそらく最初は台湾に焦点が当てられるだろうが、そうなれば、南シナ海にも脅威が及ぶ。対中抑止政策を維持するための最善策は何かを考えなければならない。 ■日鉄のUSスチール買収は「感情論」で語られている ――日本製鉄のUSスチール買収計画についてお伺いします。全米鉄鋼労働組合(USW)が買収に反対しており、トランプ前大統領は買収阻止を明言しています。ハリス氏もバイデン大統領にならい、激戦州のブルーカラー層を意識し、買収に後ろ向きの姿勢を見せています。アメリカにとって日本はアジアで最も重要な同盟国です。買収が問題を引き起こすとは考えにくいのですが、すべては「政治」のなせる業なのでしょうか。
もちろん、政治的な思惑によるものだ。主に中国のせいで、世界では鉄鋼の生産過剰が続いており、USスチールの財務状況は芳しくない。買収により、USスチールの経営は強固になる。だからこそ、このような形で政治が介入してくるのは残念だ。 とはいえ、USスチールの労働者が日鉄本社に対し、「アメリカの雇用を減らすつもりはないと確約してほしい」と主張するのは当然だ。日鉄は、より効率的な鉄鋼製造の技術を有しているのだから、アメリカの労働者を雇い続ければ、すべてがうまくいく。