年内ルート決定困難に 与党整備委
●大阪、京都知事「小浜」に慎重 地下水、工期、建設費を懸念 北陸新幹線敦賀以西の延伸を巡り、与党整備委員会が目指す年内のルート決定は困難との見方が広がった。13日、整備委の会合に出席した大阪、京都府知事、京都市長はいずれも「小浜ルート」での着工に慎重な立場を表明。地下水への影響や工期の長期化、建設費の高騰などを理由に挙げた。地元自治体がそろって「懸念」を示した形で、委員長の西田昌司参院議員(京都選出)はスケジュールの見直しを示唆。石川県内などから挙がる「米原ルート」への再考を求める声が強まる可能性がある。 【写真】北陸新幹線敦賀以西の延伸について語る吉村知事 国会内で開かれた会合には、吉村洋文大阪府知事、西脇隆俊京都府知事、松井孝治京都市長が出席。それぞれから「小浜ルート」についての意見を聞いた。意見聴取は非公開で、各氏が終了後に取材に応じた。 小浜ルートで整備区間が最も長い京都の西脇知事は、国定公園の自然環境や地下水、歴史的建造物などへの影響が課題だと指摘。住民から水質悪化や井戸の枯渇を心配する声が上がっていると伝えた。 松井市長は建設残土処理も不安視。「慎重に慎重を重ねた検討の上で精査を進めてほしい」と求めた。 吉村知事は小浜ルートの工期が当初想定の15年から最長28年に延び、工費も約2兆1千億円から最大5兆3千億円に膨らんだことに触れ「着工の前提条件が変わった」と訴えた。いずれも沿線の納得を得にくい変更だとして、対策や丁寧な説明が必要だとした。新たな費用対効果を早期に算出することも要求した。 整備委は年内に3案ある小浜の詳細ルートから1案に決め、来年度中の着工を目指している。しかし、地元の理解がないまま進めれば、批判を受けかねず、委員長の西田氏は記者団の取材に「来週もう一度、委員会で議論する」と述べ、スケジュールの見直しに含みを持たせた。 ●「米原」再試算に同調 出席者によると、会合で佐々木紀衆院議員が「米原ルートの再試算を示した方が小浜を進めるにも効果的ではないか」と尋ねたのに対し、吉村知事が「その通りだ」と同調したという。 吉村知事が新たに代表に就いた日本維新の会は、政府に米原ルートへの変更を提言している。これに関して、吉村知事は取材に「自身は小浜が基本的なスタンス」と強調。一方で「京都の意見が非常に重要だと思っている」とも話した。