大江麻理子キャスターと考える「脱はんこ」【働く30代のニュースゼミナール】
テレビ東京『WBS(ワールドビジネスサテライト)』の大江麻理子キャスターがセレクトした“働く30代女性が今知っておくべきニュースキーワード”を自身の視点から解説する連載。今回は、コロナ禍でも話題となった「脱はんこ」について。大江さんの意見は? <画像>【ビジネスマナー】先輩が見た後輩たちのマナー「モヤッ」と案件
今月のKeyword【脱はんこ】
だつはんこ>>社会全体のデジタル化を促進し、一層の生産性向上と経済活性化を図るために押印の慣例を改めようとする取り組み。新型コロナウイルスの感染拡大防止やコロナ禍で幅広く実践されたテレワークを後戻りさせない目的がある。押印廃止や書面の電子化を推進し、デジタル技術の活用を軸に進められている。
バイラ読者141人にアンケート
■あなたは「脱はんこ」の流れに賛成ですか? ・はい 82% ・いいえ 18% 「賛成」が約8割。「コロナ禍のなか押印業務のためだけに出社した」「上司が不在だと認印をもらえず仕事が滞る」「はんこを押すためだけに書類を印刷する手間と時間、経費がムダ」など、多くの読者から仕事でのはんこ使用時に不便を感じている声が届いた ■あなたは仕事において、どのくらいの頻度ではんこを使用していますか? ・毎日使用する 60% ・1週間に数回 16% ・1カ月に数回 8% ・使用しない 16% 6割が「毎日使用する」と回答。「伝票にすべて押印するルールがある」「押印した書面の提出がないとなにごとも前に進まない社風だから」など多くは形式的な使用だが、なかには「サインの代わりに押印することで時短になっている」といったはんこへの好意的な意見も
「押印廃止自体が目的ではなく、あくまで効率化の手段のひとつ」
菅政権が掲げる、脱はんこの動き。読者アンケートでは、8割以上がこの流れに賛成し、約6割が仕事ではんこを毎日使用していると回答。 「思っていた以上に読者の皆さんが仕事ではんこを使っていることに驚きました。新型コロナの感染拡大により在宅勤務が奨励されるなかで、押印のためだけに出社経験がある人も多くいましたね。コロナ禍をきっかけに、慣習として残っていて形骸化している押印作業への疑問が一気に表面化しました。菅政権に変わり行政の効率化を考えていくにあたって、わかりやすい最初のハードルの象徴として『はんこの廃止』が掲げられた背景があると思います」 脱はんこは目的ではなくて、効率化の手段であると大江さん。 「菅政権は、行政の効率化を図り利便性を向上させるために『規制改革』が必要だと主張しています。脱はんこはその『規制改革』のとっかかり。だから脱はんこ自体は目的ではなく、これまで続けてきた業務を根本的に見直していくなかで『はんこをどうするか』という話があるわけです。押印の動作を抜いただけで根本が変わっていなければ、真の効率化にたどり着けないかもしれません。今後、効率化やデジタル化を図るなかで『根本的に見直す』ことがいちばん大切なのだという話をいろいろな人に取材するなかでよく耳にしますね」 政府は押印の撤廃について、2021年の通常国会にて法案の提出を目指している。 「今後は、行政から民間企業にも変革が及んでいくのではないでしょうか。脱はんこを経てペーパーレス化が進み、書面の提出にしばられなくなることで業務の効率化が図れれば、企業の生産性が向上しテレワークの推進や働き方改革につながる側面もあるでしょう。経営者が変革のための費用をコストではなく、未来への投資と思えるかどうかが将来の成長に影響してくると思います」