【コラム】加速する若手の海外移籍 (1) いまやターゲットは10代後半。低年齢化に松井大輔も忠告するのは…
今冬も東京五輪世代の3人が海外へ。共通するのは「年代別世界大会に出場した20歳前後の選手」
2021年に突入し、欧州サッカー界は冬の移籍期間の真っ只中だ。30代の本田圭佑や香川真司はなかなか新天地が決まらないのに対し、新たな活躍の場を求める20歳前後の若手の移籍は比較的すんなり決まっている印象だ。昨夏、レアル・マドリーからビジャレアルへ赴いた久保建英は1月に入ってヘタフェへの再レンタルが決定。合流3日で迎えた12日のエルチェ戦でいきなりデビューし、決勝点をお膳立てする働きを見せた。 【PHOTO】久保建英、堂安律、長友佑都らが続々と移籍! 2020年夏に欧州で新天地を求めたサムライたち 一方、Jリーグ組でも東京五輪世代の3人が欧州へ旅立つ。久保と同じ19歳の斉藤光毅が横浜FCからベルギー2部のロンメルへ移籍。10日に日本を発ち、24日のRWDM戦に向けて調整中だ。彼より1つ年上の鈴木冬一は湘南ベルマーレからスイス1部のローザンヌへ赴き、さらに1学年上の22歳・齊藤未月もロシア1部のルビン・カザンへレンタルで加入した。 彼らに共通するのは「U-17かU-20ワールドカップ(W杯)経験者」。鈴木は久保、菅原由勢(AZ)、中村敬斗(シント=トロイデン)らとともに2017年U-17W杯(インド)に参戦。さらに2019年には齊藤未月、斉藤光毅とともにU-20W杯(ポーランド)に出場している。 つまり、欧州クラブのスカウトは年代別の2つの世界大会を見て、ターゲットになり得る若手の逸材を発掘しているということだ。それは2017年U-20W杯(韓国)直後にフローニンヘン入りした堂安律(ビーレフェルト)、シント=トロイデンに赴いた冨安健洋(ボローニャ)にしてもそう。獲得する側、あるいは代理人にしてみれば、「年代別世界大会に出場歴のある20歳前後の選手」というのが、大きな狙い目と言っていいだろう。 最大の理由は「若い方が育てて売るビジネスを展開しやすい」という点にある。2013年夏に19歳だった久保裕也(シンシナティ)を獲得したスイス1部・ヤングボーイズを例に挙げると、約5000万円の移籍金を京都サンガに払い、2017年1月に約4億5000万円でベルギー1部・ヘントへ売却したというから、4億円の利益を得たことになる。