安全運転診断車の機能拡充 高齢者の事故未然に JA共済連「きずな号」
JA共済連は、高齢者による自動車運転中の事故を未然に防ごうと、自動車安全運転診断車「きずな号」の機能を拡充した。ブレーキやハンドル操作などで瞬時の判断力や記憶力などを評価し、運転の傾向や注意点などを伝える。事故が起きやすい場面を実際の運転に近い環境で再現し、安全運転の啓発につなげる。 小型トラックの荷台に設置されたシミュレーターによる疑似体験の動画 「きずな号」は小型トラックの荷台に、ハンドルやアクセルなどを映像に合わせて操作して運転を疑似体験できるシミュレーターを搭載。今回、ブレーキとアクセルの踏み間違いなど、昨今の事故状況を踏まえて診断機能を拡充した。 動体視力や判断力などを評価する「運転能力診断」は、これまでのタッチペンを使う方式から、ハンドルやブレーキの操作で測定できるように改良した。運転能力の低下を補うためのアドバイスや安全運転サポート車(サポカー)導入の検討など、運転継続に必要な情報を届ける。 人の飛び出しなど危険な状況への対応を評価する「安全運転診断」は、駐車場や信号機のある見通しの悪い交差点などでの場面を新たに加えた。事故や交通違反、ヒヤリ・ハットなどの回数を測定し、運転操作や危険予測のポイントなどを解説する。 診断結果は紙に印刷され、指導員が注意点を伝える。機能拡充に併せて、高速道路の逆走やペダルの踏み間違いへの注意を呼び掛ける動画やパンフレットも作成した。
啓発イベント巡回 利用2600回以上
「きずな号」はJAや警察、行政のイベントなどを巡回。運用を始めた2008年から累計で2600回以上利用されている。今後も、全国で安全運転の啓発に活用される。 共済連は「農山村地域で(自動車は)必要な足となっている。『きずな号』を活用して高齢ドライバーの交通事故未然防止に寄与していきたい」(農業・地域活動支援部)と話す。 高齢者の自動車運転を巡っては、改正道路交通法が13日に施行され、免許更新が変わる。過去3年間に信号無視や速度超過などのうち一つでも違反歴のある75歳以上の人に、免許証更新時の実車試験を義務付ける。 自動ブレーキなどを搭載するサポカー限定免許も導入される。現在免許を持つ人が申請すれば交付される。免許は従来通り取得が必要で、限定免許に変えるとサポカーしか運転できない。
日本農業新聞