「学生時代の経験を活かそうとか、論外です」北の達人・木下社長に"社会人1年目の働き方"を相談したら、キャリア観が180度変わりました
「28歳までに不得意を潰せ」若手がキャリアを築くうえで大事なこととは
木下さん 今のりんたろうさんは、広く浅くじゃないですか。 仮に学生時代に何か成果を出していたとしても、せいぜい、何の社会経験もない、一人の学生が出せるレベルのことですよね、それで30歳、40歳まで生きていくつもりなんですかっていうことなんですよ。 僕は就職したら、最初は左手と受話器をガムテープでぐるぐる巻きにされて、アポとれるまで受話器を離すなっていう環境でした。 でも、そこでものすごいスキルを身につけられたわけです。 まったく何もないところから電話をして仕事を取って、年間億の売上をつくっていく。その一連のスキルをマスターするから、学生とは完全に差がつく。 りんたろう 力をつけるために、集中してやる時間は一定必要ということですか。 木下さん そういう時間はあったほうがいい。「石の上にも3年」という、何千年も前からある言葉が急に変わることはないように。 りんたろう どのぐらい、一つのことに集中する期間をつくるべきなのかが想像できないです。 たとえば、営業として3年で成果を出せるようになっても、ほかのスキルはないままだから、何かやる度にまた新しく勉強することになる。それは途方もないなって思っちゃうんですけど。 木下さん りんたろうさんは、中高とラグビーをやってたんですよね。でも、ラグビーだけできるようになったのではなくて、チームスポーツのやりかたも身についたと思うんです。 りんたろう あ…そうですね。 木下さん 自分のプレイヤーとしての上達の仕方と、チームプレイの方法をある程度学んでいる。 そうなると、まったくやったことがない人に比べて、ほかのチームプレイもできやすいはずですよね。 りんたろう たしかに。 木下さん 営業でも同じです。営業を極めたとき、ほかのスキルがまったくゼロかっていうと、全然そんなことなくて。 仕事の基礎の部分は、営業でもめちゃくちゃ学べるわけです。「何の仕事でも一緒」だという部分が必ずある。 だから一つのことを一度極めると、ほかの職種にも通じる部分が出てきますよ。 りんたろう 一つの柱を立てると、そのまわりの普遍的なスキルもついてきて、次の展開がしやすくなると。 木下さん そう。そこを持たないまま右往左往している人を、僕は結構ヤバイなと思いながら見てますね。 そして、この“何かを極める”というのを、28歳までにやらないといけない。 りんたろう ああ、木下さんは「28歳までに不得意分野を潰したほうがいい」って、ほかのメディアでも言われてましたよね。それってどういうことですか? 木下さん 吸収力があるのが、大体28歳ぐらいまでなんです。28歳を超えると、それが落ちる。 そうなると、28歳までに何を培っておくかがすごく重要なんです。それ以降は、そこまでに培ったものをベースに戦っていくことになるから。 あと、いろんなものに手を出している人と、一つのものを極めた人だったら、後者のほうが応用が効くから、強いんです。 28歳以降で勝負をかけるために、28歳までにどれだけ培っていくか。 そう考えると、「この仕事は無駄になるかも」とか考えている場合じゃなくて、「これだけはできる」というものを身につけておいたほうがいい。 りんたろう そのファーストステップを、どう踏み出していけばいいでしょうか? 木下さん 何の仕事でも、一旦3年ぐらいやって極めること。 今の若者のなかには「2年ぐらいで独立して」とか言う人がいるけど、僕らから見ると、たった2年で培ったベースで今後生きていこうと思ってるのは、キツいなと。 りんたろう 見積もりが甘いな、という感じですか。 木下さん 今は身の回りの人たちから仕事をもらってしのげるかもしれないけど、5年、10年後マジでやっていけると思ってるの?と。 僕でも、たとえば会社を引退して一人でコンサルタントやったとして、持つのは長くて3年だと思うよ。 りんたろう 木下さんでも3年ですか!? 木下さん だって、世の中どんどん変わってるんだから。 変わっていくなかで、独立後も勉強して情報も収集していかないといけないでしょう。会社を離れて、そんなに情報入ってくると思う? りんたろう そうですよね… 木下さん 一つ何か仕事を成し遂げたとき、自分にあるものが本当のスキル。 その後まったく別の仕事に関わっても、経験値があればこなせます。そういう経験を積み重ねて、パーフェクトになっていく感じだと思うよ。 その過程では、なるべく難易度が高いところに行ったほうがいいよね。あと一人でなるべく完結する仕事。大きな業務フローの一部だけを極めても、それしかできなくなったりするから。 りんたろう ある程度応用がきいて、自分が1から10までやれる仕事だとなお良いって感じですね。 木下さん 今のりんたろうさんでいうと、1本の動画を企画して編集をして、最後までやり遂げる。その間に起きることっていろいろあるじゃない。 それを全部乗り越えた経験があると、「一つのプロジェクトを回せます」と言えるようになるよね。