「学生時代の経験を活かそうとか、論外です」北の達人・木下社長に"社会人1年目の働き方"を相談したら、キャリア観が180度変わりました
リクルート新卒から起業家へ。上場企業CEOの木下勝寿さんに相談してみた
りんたろう 木下さん、よろしくお願いします。 今日はキャリアのファーストステップをどう踏み出すべきか、という悩みをご相談させていただきたいです。 木下さん うーん。まず、考えすぎかなと思いますね。 今、やったことや見たことがない世界に対して、めちゃくちゃ想像を働かせている状態ですよね。 でも、やっぱりやってみないと、見てみないとわかんないよね。 考え過ぎて方向性を決め過ぎちゃうと、可能性を絞ってしまうかなと思います。 りんたろう それって、「とりあえず始めてみろ」みたいなことですか? 木下さん 多くの人が、若いころに考えていろいろやった結果、「ああ、あのころ考えたことってほとんど無駄だったな」って思うんですよね。 いろいろ考えるのは全然あり。ただ、決めすぎるのは絶対しないほうがいい。 初めての仕事は、やってみないとどんなものか絶対わかんないし、向いてる・向いてないも全然わかんないじゃないですか。 りんたろう そうですね。 木下さん たとえば今の仕事が、すごく自分に向いてると思ってたとして。 もし、やる前から「僕はほかのことに向いているから」って全然違う方向を向いていたら、この可能性は潰していたという話。 だから、緩やかな方向性は決めてもいいけど、ガチガチには決めないほうがいい。 りんたろう 僕は職人のように一つに没頭して、つぶしの効かないキャリアになるのが怖いという気持ちがあって。 木下さん 職人として一生過ごす人もいるけど、そっちにいきたくないっていう話ですよね? りんたろう そうです。 木下さん 社会に出てスキルを身につけるのって、4段階に分かれるんですよ。 最初は「業務スキル」。業務を自分でやっていけるスキルを身につける。 次の段階で「マネジメントスキル」。人に教える、もしくは複数人で一つの仕事をやるスキルですね。 その次に「未知問題解決スキル」といって、今までに経験したことがない問題を解決するスキル。その後に、「仕組み化のスキル」がある。 で、この4段階の間で、途中で止まる人、止める人が出てくるわけです。 業務スキルで止める人は職人になるし、マネジメントスキルで止める人は課長、未知問題解決スキルで止めるんだったら部長とか。仕組み化のスキルだと、もっと上の経営者層とかになってくる。 りんたろう どこで止めるかは自由ってことですか? 木下さん そう。それは自分で決めたらいい。ただ、止めると止まるは違うよね。もっと上にいきたくてもいけないっていうのもあるだろうし。 りんたろう それって、最初の業務スキルから始めないとダメなんですか? 木下さん 最低限は必要だと思うよ。 業務スキルがないままマネジメントはできないし、マネジメントができないまま未知問題の解決はできないし、そこができないまま仕組み化もできない。 りんたろう たしかに…今思ったんですけど、学生は「マネジメントスキル」や「未知問題解決スキル」に視点を置きがちな気がしてて。 でも実際に社会人になると、いきなり「業務スキル」に引き戻されるギャップがあるのかなって。 木下さん それ、「未知問題解決スキル」だけやってると、意識高い系だけどスキルはまったくないって人間になりかねないね(笑)。 やっぱり「業務スキル」は大事ですよ。入社して2、3年は、業務のスペシャリストになっていく必要があると思います。 りんたろう そうですよね。 木下さん なぜ学生がそこをすっ飛ばすパターンがあるかというと… 「守・破・離」という考え方があって、「守」は、今までのやり方を守る。「破」は、自分なりのやり方を加える。「離」っていうのが、自分流を確立するイメージ。 この、最後の“自分流を確立する”部分って、ラッキーパンチがあり得るんです。だから、社会も学生にやらせてみることがある。ラッキーパンチが出ればラッキー、外してもショックは受けない。 でも、社会人になってラッキーパンチをやってたらキツいよね。 りんたろう 再現性がないってことですか? 木下さん そう、全然ない。だから確実に仕事ができるスキルを身につける必要がある。 りんたろう 実際の社会と、学生までの間に見ている社会とは違うと。 木下さん 全然違うと思ったほうがいいです。